第69回正倉院展と異国的な文章

www.narahaku.go.jp

 

この10年くらい、正倉院展に行くという小さな贅沢をしている。色々と好きな個所があるが、一つが文章である。予告の文章やカタログを飾る文章は、不思議な文章で、おそらく名文と言ってもよい。私には全く読めない漢字、聞いたことがない読み方、何のことだか分からない説明。それが重層していって、最後に落とされる説明を聞いて、ああそうかと納得する。一段落を示しましょう。

 「また、アッシリアに起源を持つとされる楽器・箜篌(くご)の貴重な遺例である漆槽箜篌(うるしそうのくご)、インドに起源を持つ迦楼羅(かるら)の面、同じくインドに起源を持つ迦陵頻伽(かりょうびんが)があしらわれた最勝王経帙(さいしょうおうきょうのちつ)、ペルシア起源の器を中国で写したと考えられる緑瑠璃十二曲長坏(みどりるりのじゅうにきょくちょうはい)やわが国で製作されたと考えられる金銅八曲長坏(こんどうのはっきょくちょうはい)、異国情緒溢れる金銅水瓶(こんどうのすいびょう)などの宝物からは、各地に源流を持つ文化が結集し花開いた、国際色豊かな天平文化の様相がうかがわれます。」

 

なんですか、この魔法のような、あるいはごまかしのような文章は(笑)