台湾の「蛮族」についての新刊と戦前日本の台湾の高砂族の精神医療調査について

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台湾の高砂族については、1940年代に詳細な精神疾患調査が行われたことを知っている。九州大学の医学部精神科の教授である下田光造が組織して、九大の一流の若い精神科の医師たちが、台湾の原住民である高砂族が生活する山間の空間に入り込んで、精神病にかかった人々を探し出して診断するという巨大なエスノ精神医学のプロジェクトである。素晴らしい論文が刊行されている。この一大企画を含む日本の優生学と精神医療のプロジェクトについては今年の夏に英語で書いた論文が刊行されたので、興味がある方はご一報くださればお送りいたします。

その時に、台湾の高砂族などについて、さっと手に入れて読むことができる英語の文献がないのが悩みだったが、まさにそのような書籍がカリフォルニア大学出版会から刊行され、しかもサイト上で無料で読むことができるとのこと。早速サイトに行ってぱっと見てみた。論文の脇を固めるのに最高のマテリアルで、写真やイラストもたくさんあり、これを論文の刊行前に観ることができていたらと、かなり残念である。もう一度台湾のことについて何か書く機会があったら、きちんと見てみよう。

著作は、Paul D. Barclay, Outcasts of Empire: Japan’s Rule on Taiwan’s “Savage Border,” 1874–1945 である。