薬師如来と性転換の謎が深まる(笑)

亀井勝一郎. 大和古寺風物誌. 新潮文庫. 新潮社, 1997.
 
昭和戦前期から太平洋戦争期間中に書かれた文章が多い。奈良が爆撃されたときに備えて持ち運べる仏像は田舎に持っていけというようなことも書いてある。
 
それとは無関係だと思うが、新薬師寺薬師如来に関して一つ分からないことが書いてあった。薬師如来薬師瑠璃光如来であり、東方浄瑠璃世界の教主であるとのこと。自ら十二個の大願も出している。それらはわかるものが多い。衆生の衆病を除こう、飢餓をなくそう、乞食に服を与えようなどの願いはよくわかる。障害に関しても、一切の不具者をして、諸根、眼、耳、鼻等をして完具せしめることというのが入っているのもわかる。ただ、性転換のように読める願が分からない。<女身をして男身ならしむるの願>である。女が自分の身を男の身にすることができるような願いということなのか。トランスジェンダーなのか、トランスセックスなのか、とにかく性を変えることである。新薬師寺のサイトに行くと、たしかにそのようにも読めるように書いてある。第八の願いの部分である。
 
 
同じような女性から男性への性転換は、ヨーロッパでも行われている。トマス・ラカーの本にわかりやすく書いてある。東洋でも、薬師如来というものが女から男への性転換を見ているのだろうか。このあたりが、私が苦手な仏教と身体の関係の話である。どなたか、教えて下されば幸いです。