杉山章子先生の「農村医学の形成と発展」という論文がある。長野県臼田町の佐久病院の戦後の歴史を記述した論文である。若月俊一の農村医学・社会医学を称賛するトーンで構成されている箇所が多いけれども、「農夫症」の概念や、農薬使用の拡大などに関して詳細な記述が多く、とても役にたつ論文である。
ちなみに、この論文は『日本医史学雑誌』に掲載され、その雑誌は3年前まで無料で公開されるというルールになっている。日本医史学学会は1927年に創設された。そのときに機関誌を出せばよかったが、それ以前の1880年から刊行していた『中外医事新報』を刊行し続けた。1941年にこれを『日本医史学雑誌』と改名してそこで第一巻を出し、1944年末の第4巻まで刊行した。1927年から1944年までの中外医事新報と医史学雑誌は、思文閣が復刻しているので、こちらはウェブに載っていない。しかし、『日本医史学雑誌』が1954年に復刊してから、「3年前」までは公開されている。おもしろい論文や記事もとても多いです。ぜひご覧くださいませ!