メアリー・シェリーの人生と、その時期の動物実験の影響を描く映画

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今日は午前中に仕事をして、午後には『メアリーの総て』という日本語タイトルの映画を見た。英語のタイトルは Mary Shelley である。『フランケンシュタイン』を書いた女流小説家である。今から30年以上前に『ゴシック』という映画を観たことが懐かしく思い出されました。

メアリー・シェリーを問うている映画。『フランケンシュタイン』という作品は何か、作品の中のクリーチャー・怪物はなぜあんな運命をたどるのか、そのような作品を書く中で彼女自身の人生はどうなるのか。とても面白い作品だった。メアリーと結婚したパーシー・ビッシュ・シェリーを筆頭に、バイロン、ポリドリ、父親であるゴドウィン、妹のクレアなど、どの役も面白い芝居をしている映画である。

医学史家として書かせていただくと、絶対必見の映画である(笑)メアリー・シェリーや、イギリスのロマン派、そして自由思想家にとって、「生命とは何か」という問いは巨大なものであった。動物実験を行って、動物はただの機械ではなく、機械とは異なった原理である<生命>を持っているということを見せることがよく行われた。科学的な実験でもあり、知識人たちが興味を持つ現象でもあり、人々がお金を払ってみる見世物でもあった。この映画でも、ガルヴァーニの原理を用いたカエルに生命を与える動物実験がロンドンで行われる映画の場面もあり、パーシー・ビッシュ・シェリーが試験管で実験をするシーンもあった。その生命への問いかけとメアリー・シェリーが深く結びついている作品。ウェルカム医学史図書館も関与しており、歴史的に忠実な再現が多いのだろう。ぜひぜひご覧ください。

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シェリー家に置かれた科学実験の道具。おそらく歴史的に正しい。