小説『チューリップ熱』

Moggach, Deborah. Tulip Fever. Vintage, 2000.

しばらく前に観た映画の Tulip Fever を読み終わる。映画も小説も17世紀のオランダのアムステルダムに設定されている。映画では、ジュディ・デンチ修道院の話が大きな役割を果たすが、小説にはそんな話はまったく現れず、映画のために作られた話である。でも、小説もとてもいい。 

医学史の話をしておきます(笑)ポイントは二つ。女主人公が死んだことにするときに、ペストにかかって死んだからという架空の話は、どのくらい説得力があるのか、私には分からないです。それから、女の主人がバタヴィアに行って黄熱病で死んだといううわさ話という部分は、これはほぼ確実に間違いです(笑)黄熱病はアフリカと新大陸、そしてまれにヨーロッパまで運ばれるもので、東南アジアには現れたことがない疾病だと思います。どうでもいいことですが(笑)