立春について

立春は一年の四季を画す四立の最初。「春立つ」はこの日から春となるという意味。24節気、いわゆる暦の上の春の最初の日である。夏暦では孟春建寅(もうしゅんけんいん)の月の節気、つまり立春の前後に新年が来るように、孟春の中気雨水を含む月を正月と定めている。したがって、立春は春の始めであるとともに一年の始めでもある。漢初以来、夏暦の一月を正月と定めた王朝が多かったから、中国暦では建寅の月が正月と決まっているように思っている人が多いが、先に述べたように必ずしもそうではない。12月中に立春があることもあるし、正月になってから立春がある場合もある。前者は年内立春、後者は新年立春という。年内立春としては、『古今和歌集』冒頭の「年のうちに 春はきにけり ひととせを こぞとやいはん ことしとやいはん」という歌が有名である。私は初めて知りました(笑)
 
72候の初候は「東風解凍」(とうふうこほりをとく)である。これは「今より暖かくなるといい」という希望の言葉(笑)古い暦法では「鷄始乳」(にわとりはじめてにゅうす)を使う。このフレーズの意味はマスターした(笑)東風は実際には長安でも京都でも吹かない。これは五行説に基づき、春は木の気であり、木の方位は東、色は青(緑)である。だから立春の風は東風となる。次候は「蟄蟲始動」(ちっちうはじめてうごく)は、地中に巣篭っている虫の動きを感じるという、想像上のこと。末候は「魚上氷」(さかなこほりをのぼる)。水面にはまだ厚く氷が張っていて、わずかな割れ目から魚が顔を出す。そこに水ぬるむ春へのあこがれが表されている。
 
岡田, 芳朗. アジアの暦. vol. 049, 大修館書店, 2002. あじあブックス.
内田, 正男. 暦のはなし十二ヵ月. 雄山閣, 2004.