森野旧薬園

高橋京子・森野壽子.   森野旧薬園と松山本草―薬草のタイムカプセル.  吹田.  大阪大学出版会.  2012.  
 
森野通貞(1690-1767) は森野旧薬園の開設者である。もとは藤助は農家であるが、葛の根から葛澱粉を製造して売っていた。その地域の植物についての直接の経験の多さ、京都、大阪、江戸などの取引などの経験も持っていた。この経験から、幕府との関連を持つようになる。1729年に徳川幕府から植村佐平次が大和を訪問して、各地の薬と農村の状況を調べたときに、植村に同伴して御薬草見習として4か月教えながら学んだ。これを契機として自宅に薬草園を開き、その後も数回、幕府から日本や中国・韓国から植物を与えられて、その地で生育することになった。その過程で名字帯刀も許された。晩年には旧薬園の植物や動物などを写生して、「松山本草」として10冊の画集となっている。本草学が画集と結びつく部分がここにもある。