昭和20年代の医療費の分析

小泉和子. 家で病気を治した時代: 昭和の家庭看護. vol. 015, 農山漁村文化協会, 2008. 百の知恵双書.
 
しばらく前に買った書物。昭和期の家と病気に関して、イラストと優れた論考が並ぶ非常に面白い書物。都市と田舎の双方に関して論じている。その中で、東京の大田区の主婦が、1949年から1956年までの8年間に家計簿をつけており、そこで家族の医療費の合計ができる部分がある。息子たちが大学を卒業したり入学したりする時期だから、私の年齢を考えればいい(笑)
 
 
項目
金額(円)
近代医療
108,448
按摩、鍼、骨接ぎ
22,305
近代薬物
41,445
民間療法
9,815
 
東京に住み、書き手である主婦も女子大学を卒業し、息子たちがよい大学に入学しているところを見ると、中産階級の上層の部分と考えられる。按摩、鍼、骨接ぎと書いたが、これはほとんどが按摩。民間療法のほとんどは富山の売薬であって、生蛇を飲むとかそういう話ではない。出費でいうと、全体の6割が医師、2割が近代医薬(ペニシリンも服している)、残りの2割が按摩とマイルドな民間療法。