20世紀後半のアメリカ圏の精神医学の世界で起きていることと、世界の他の部分で起きていることの関係がよく分からない。アメリカでは(なぜか)フロイト派の大きな運動が起きて1960年くらいまでは席捲したこと。それに対する激しい反対として、精神疾患を脳と化学物質の現象として説明しようとする生物学的な運動が起きたこと。ある意味で、二つの派が両極に分かれる形で論争がセッティングされたことがある。
しかし、それだけの論争ではなかった。その二極の論争に、さらにさまざまな形での考察が取り込まれた。それは文学であり社会科学であり戦争であり人種の問題であった。この本は、そのような複雑な構造の分析だと思う。読んでみます!