歌舞伎と高時と外郎売

7月の歌舞伎公演は、「高時」と「外郎売」という医学史の重要な作品が入っている豪華なものである。「高時」は、もともとは『太平記』の序盤で登場する愚かな執権である北条高時のストーリーで、高時が酒を飲んでいる時に多くの芸人が現れ、歌を歌いながら踊るのに参加したが、実はこれが天狗などの怪物たちであったという話。それを1884年河竹黙阿弥が歌舞伎の作品として作ったものである。天狗たちがそとからやってくる動きと、酒飲みで愚かな執権の愚行が重なっている話である。外国向けのポスターが使っているのはこの作品をもとにした浮世絵です。
 
外郎売」は、もともとは陳宗敬という中国の元朝の外交官がおり、外交官を「外郎」といい、彼が明が成立する時に日本に亡命して薬を売り、その薬が「外郎」といわれたとのこと。これは14世紀から15世紀のことである。それが小田原で売られるようになり、江戸時代の1718年に歌舞伎役者である二代目団十郎が薬のお礼を申し上げるために「外郎売」という作品を作ったとのこと。
 

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もう一度ポスターです(笑)