尾佐竹, 猛. 刑罪珍書集. vol. 6, 大空社, 1998. 近代犯罪資料叢書.
江戸時代の身体の図の中で身体の表面から内部を描く面白い図があったのでメモ。
もともとは中国で13世紀から14世紀に成立した法医学的な書に添えられた挿絵である。正面からを仰面といい、背後からを合面というらしい。それらの裸の絵に、この部分は何々という説明を書きこんで、死体がどこに傷をつけられているということを正確に記述できるための重要な図像である。解剖学が支えているわけではないが、この表面の裏側の身体に何があるのかという問題も多少は意識されている。この時代で法医学の画像が達成されたことが、改めて中国文化が早く発展していることを教えてくれる。
ヨーロッパだと、それからしばらくたつと、外科系の画像で、表面の様子、傷口、そして身体の内部が描かれている。14世紀や15世紀になると、解剖の部分はやはり鮮明に存在する。