奥州安達ヶ原と胎児の胆の入手

月岡芳年が1885年に売り出した「奥州安達がはらひとつ家の図」という非常に有名な作品がある。もともとは浄瑠璃『奥州安達ヶ原』の「ひとつ家」のストーリーを浮世絵にしたものである。もちろん、狂気が登場しない他の安達ヶ原のヴァージョンもたくさんあるが、江戸時代から明治時代に狂気を描いた作品の一つとして面白いのでメモ。
 
天井から妊婦が逆さづりにされ、足元では老婆が包丁を研ぎながら胎児から胆を切り出す準備をしている図である。ウィキペディアによれば、老婆はもともと京都の姫につかえていたが、この姫に障害を持った娘が生まれ、5歳になってもまだ言葉を話すことができなかった。胎児の胆がこの障害のための秘薬であることを知り、岩屋にいってそのチャンスを狙っていたところ、新婚の夫婦が来て、しかも妻は妊娠していた。女性は妻を殺して胎児から胆を切り出した。しかし、その妻が自分の娘であったことを知り、狂乱してしまった。
 

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発禁となった図であるとのこと。たしかにそうですね。ううううむ。