ハイポとタイポ(笑)

昨日から「低」で始まる単語が頻繁に登場する部分を入った。最初が昨日の「低アルブミン血症」、最後が今日の「低リン酸血症」である。これらは英語で言うと hypo- という接頭辞で始まる語である。それぞれ hypoalbuminemia と hypophosphatemia である。最初の hypo- を取り除くと何かが「低い」という意味になることが分かる。アルブミンやフォスフォラスが血液の中に少ないという感じ。血液が多様なものを持っていることがよく分かる。
 
hypo- に対する接頭辞が hyper- である。「高い」という意味になる。この辞典でいうと「高」の部分で集中的に登場する。最初の語が 「高圧」の hyperbaric 、最後が「高リン酸血症」nの hyperphosphatemia である。リン酸の高いと低いという対比を見つけて少し嬉しい。
 
hyper- と hypo- の区別の仕方。対比が強いもので憶えるといい。hyperactive と hypodermic (皮下)で憶えなさいというメッセージもあったが、私は hypothesis で憶えている。証拠がたりないから仮説となるからハイポは「下」という感じで憶えている。
 
もう一つ、hypo- と hyper- の区別を一瞬忘れてしまうのは、typo- という接頭辞の存在である。もとはギリシア語の typos で、文字や絵の意味である。タイプライターという言葉は、私が学生時代はよく使われていた。
 
そのタイプライターのミスタイプを英語では typo, typos と言った。この単語はとても懐かしい想い出がある。私が1990年にHistory of Psychiatry に初めて投稿した論文は、色々な理由で、タイプミスが非常に多かった。それを査読してくださった先生が、タイプミスだらけのボロボロの論文を一発で切り落とすのではなく、一文で方向を示してくださった。それが Typos proliferate.  である。「誤字が非常に多い」とでも訳すのだろうか。この二つの単語が作る一文で勇気を起こして、もう一度頑張って査読雑誌に掲載されることができた。ラシュトン先生、心の底からお礼を申し上げます。
 
しかし、ここでは、タイポが「多すぎる」というメッセージである。ハイポは「少なすぎる」という意味なのに、それに反している。だから私のhypo の記憶が一瞬迷うのですね。うううむ(笑)