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授業の予習をしているときに、 phenylketonuria という疾病を実験室で発見した Ivar Asbjørn Følling (1883-1973) のことを少し調べる機会があった。学生に実験室での貢献のモデルを教えるいくつかのエピソードとしてとても優れているのでメモをしておいた。社会的な上昇をする医学者・生化学者が、訪問した家で調子が悪い子供の尿の臭いから、実験室に持ち帰って実験をして、正体をつかむ過程を知ることができる。彼のその場面を丁寧に描いたものもあり、憶えておこう。
二つの大きな問題がある(笑) 一つは phenylketonuria という疾病である。英和をひくと「フェニルケトン尿症」という訳語で入っている。日本では10万人に一人くらいの珍しい疾病であるとのこともあり、あまり丁寧に説明されていない。phenyl は19世紀フランス語から導入された科学用語。ギリシア語の phaino からフランス語の phenyle となった。語義は「光っている」というような意味で、実験の際に光っていた物質であるとのこと。keton はドイツ語から、もともとはラテン語の acetum で、酢という意味。酢のようなにおいがするということだろう。uria はギリシア語・ラテン語の尿という意味。1930年代にIvar Asbjørn Føllingが発見したときに、このような多国語の名前をつけた。