プラトンのアトランティスと土木・農業・経済と健康政策

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BBCの in Out Time で プラトンアトランティスについて論じていて、その政治的な内容や技術史的な内容が非常に面白かった。プラトン全集の第十二巻で、ティマイオス種山恭子が、クリティアスは田之頭安彦が翻訳している。もともとソクラテスを含めて4人の人物が対話するという形式で、その最初の人物の名称がティマイオス、次の人物がクリティアスという名称である。アテネギリシアの文脈で、どの政治家に特定されるかということも具体的に分かっているとのこと。

ティマイオスは比較的短い言及で、24e-25d に書かれている。私も含めて、多くの皆さんがここは読んだことがあると思う。面白いのはクリティアスで、113+ と表記されている10ページを超す長大な部分が、アトランティスを論じている。その内容は、神との関係、政治論、土木論、運河論、農業論、通商・運輸論、そしてそれらとつながる人々の健康論などが論じられている。一言でいうと環境と重なる議論である。何かの折に引用できるように、憶えておこう。

一つ小さな面白い点。アトランティスには冷泉と温泉がある。どちらも舌触りと優れた水質が重要で、プールや浴場になっているが、それが王と一般人、そして、婦人用、馬その他の役畜用、おそらく合計4つに分かれているという。この順序であり、また、ここまでが浴場の範囲なのかと納得した。

Plato, Complete works edited by J. M. Cooper and D. S. Hutchinson (1997) 
プラトンティマイオス . クリティアス』 種山恭子・田之頭安彦訳(1975)