Jackson, Harmonious Triads and Digby, Madness, Morality and Medicine

12月13日に慶應三田で科研の研究会があり、そこで旧世代の学者たちと比較的若い世代の学者たちが集まり、発表をしてディスカッションをするというミーティングがあった。とても楽しい時間だった。そこで私が言及した二つの研究書に触れておく。

 

一つが Myles W. Jackson, Harmonious Triads:  physicists, musicians, and instrument makers in nineteenth-century Germany (Cambridge, MA.: MIT Press, 2006) である。これは19世紀のドイツの物理学研究者たちが実験室 laboratory で実験 experiment を行い、音楽を科学的に分析し、それが音楽者や楽器製作者たちと協力する基盤を作ったという書物である。物理学研究者と書いたのは、生理学者や心理学者としても著名なヘルムホルツ Herman von Helmholtz (1821-1894) も含まれていて、彼は人間の身体や精神についての学問に数学を取り込んだことでも知られているからである。面白いエピソードとしては、パガニーニやリストといった作曲者・演奏家たちが、驚異の機械のような楽曲を演奏したことである。ラボラトリーと実験と19世紀の音楽が結びついていることを教えてくれる。

 

もう一つが Anne Digby, Madness, Morality and Medicine: A Study of the York Retreat 1796-1914 (Cambridge: Cambridge University Press, 1985) である。これは、新しい医学史の古典である。そこでは、記憶し直すこととして二点。クエイカーという宗教団体が、社会において虐待されている奴隷を解放しようという流れと同じ中で、ホスピタルで虐待されている狂人を人間的に扱う The Retreat という名の組織を作ったこと。また、1830年代から40年代にかけて、宗教組織から医学組織という性格が強くなったことである。

 

なぜ久しぶりにこんなことをしたのか、簡単に説明しておく。以前に私は毎晩このような日記を書くことを日課にしていた。数年間に関しては、一年に365点前後のまとめを書くことができた。それらが記録してあるから、少なくとも何を読んだかということは残っている。そのようなことをしていましたねと、若い研究者に言われて、少し嬉しかったこともあって、メモを書いておいた。これを書くのに45分くらいかかった。もう一度、やってみようかなと思った。