サル痘(monkeypox) の疫学と同性愛と HIV/AIDS

世界を不安にさせていたサル痘 (monkeypox). 初期の疫学の結果が出てきました. 患者はすべて圧倒的に男性であって 100%. うち同性愛者であるかバイセクシュアルである患者が97%をしめていて、男性と男性の性交がサル痘になりやすい状況を示しています。もちろん女性との性交で感染したのではないかと考えられる男性もいます。

大切なことなので、誤解がないように付け加えておきます。1980年代で、私が青年時代だったときに世界を覆った大誤解が「アメリカのゲイが根源になった」ということでした。アメリカのゲイが感染に役割をはたしたことは事実です。しかし、それだけに集中して、Patient Zero などという間違ったシンボルを作り出してはならないです。ことに Patient Zero の神話が現実と異なる事情、現実はどうだったのかについては、先学期に多くの学生が納得して読んだ名著である R. A. McKay, Patient Zero and the Making of the AIDS Epidemic (Chicago: University of Chicago Press, 2017) を読みました。どちらもお読みください! 

 

click.endnote.com

ティッチボーン裁判事件の記事

今日はもう一つ。ティッチボーン裁判事件という興味深い19世紀の事件についての素晴らしい記事。

貴族であったティッチボーン卿 (Roger Tichborne, 1829-1854?)が行方不明になり、10年後ほどに、アーサー・オートン (1834-1898) が我こそはティッチボーン卿であると名乗り出た有名な事件である。この記事も触れる色々な文学作品があり、私はボルヘスが大好きだが、言及されていた書物もあと少し読むことにしよう。

もちろん自己とメディアの双方が影響を与え合って起きた事件である。16世紀フランスの マルタン・ゲール事件や、カルロ・ギンスブルクが描くイタリアのメノッキオのように、自分が描く何かになって法的な事件となる事例は数多い。しかし、19世紀になると、メディアの力を利用して自分が個性を持つものであることを主張する事例も出てくる。アメリカで有名な事例だと21世紀の Anna Delvey 事件もあるし、日本でも数多くのメディアを利用したものがある。ティッチボーン裁判事件は、メディアが急速に参加していくものの一つだろうと思う。

 

daily.jstor.org

ニホンザルの「暴行」?

www.smithsonianmag.com

 

Smithonian Magazine からニホンザルのニュース。温かいニュースではなく、どちらかというと厳しい報告である。話題は山口市で、市の内部と周縁でヒトに襲い掛かり、50人ほどの怪我人が出ているとのこと。子供と女性が多いが、高齢者や男性にも襲い掛かっているとのこと。よくある経緯がここでも繰り返されている。

私の家の近くでも、20年程前に、一人のサルが住宅街をうろうろするという事件が起きた。おそらく彼のお腹が空いていて、住民が出すご飯などが気に入ったし、住民が庭で飼っているペットのノミを取って食べたりしたりするという、面白い仕方でヒトと一緒に生活を送っていた。私の家でも、二階のベランダにちょこんと座っている姿が愛らしくて、一緒に生きてみようというような暗黙の合意があった。

それが数か月ほど続いたけれども、何かが起きて、あるいは恐怖感や不安を持つ住民が訴えて、彼を移動するために麻酔剤を撃つ大捕物があって、富士山の山の中に戻されていた。山口市もそのようにするのだろうか。

『ホノルル ペストの火ー1900年チャイナタウン炎上事件』を頂きました!

大脇幸志郎先生が訳された『ホノルル ペストの火ー1900年チャイナタウン炎上事件』を頂きました!

ペストの第三次の波は1900年にハワイに上陸しました。アメリカがハワイに拡大し、医師や公衆衛生の人々がその方向で努力して、日本人や中国人の非白人の地域で大きな被害がでました。日本からの移民たちが裸体になって消毒をされている写真も掲載されています。授業に読ませるテキストとしてとても良いものです。ぜひお読みください!

 

 

アメリカの銃撃大量死

アメリカの独立記念日にシカゴの近郊の街でパレードが行われていた折に、銃撃で6人が死亡したとのこと。どう表現していいのか分からないが、亡くなられた方のご冥福をお祈りします。

 

エコノミストはこの記事を載せていて、当然のように統計も使っていて、もちろん、この40年間、かなりのスピードで増加していることが示されている。

 

ふと感じたことを一つだけ。Covid-19 がアメリカで流行した時期には、銃撃大量死が減少する傾向があるのかもしれない。

 

www.economist.com

Medical History, Volume 66,, Issue 2 が刊行されました!

Medical History, vol.66 (issue 2) が刊行されました。現在ちょうど来日している Alexander Bay 先生の論文が掲載され、それが用いた画像が表紙に使われています。また、大阪大学のPierre-Yves Donzé先生の Medtec が書評されました!どちらも 無料で読めますので、以下のサイトからどうぞ!

 

 

www.cambridge.org

Mindscape の展示と『地球がまわる音を聴く』が始まりました!

「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング ー 
五感を研ぎ澄まし、想像力を働かせて、リアルな空間でアートと出会おう」が始まりました。森美術館で、2022.6.29(水)~ 11.6(日)にわたって開催されます。

その中で飯山由貴さんの作品も展示されています。これはウェルカム財団が行っている Mindscape というプロジェクトの一部です。東京を含めて世界の都市(ベルリン、ニューヨーク、カルカッタなど)を選び、それらの都市で芸術と疾病・医療の主題で作品を作るプロジェクトです。芸術と医療の歴史が国際的な試みになっていく一つの試みです。

 

wellcome.org

 

wellcome.org

 

www.mori.art.museum