『週刊医学界新聞』の看護記録の効率化の記事

『週刊医学界新聞』で看護記録の効率化の記事が掲載されていた。看護師の超過勤務の大きな原因を占めてしまうのが看護記録の作成であるとのこと。ある調査では勤務超過の時間の54%を超えているとのこと。以下のサイトで記事を読むことができる。

https://www.igaku-shoin.co.jp/application/files/3016/3453/2033/3442.pdf

 

昭和戦前期の患者の記録を見ていても、看護婦や看護士の記録の方が圧倒的に記入が多いというのは事実である。医師がつける病床日誌は、すぐにハンコで日付を打つというパターンになるが、看護日誌のほうは毎日書かれているし、ハンコなどには絶対にならない。質も高いと思う。一番引き込まれるのは、看護のスタッフとその患者個人の間に生々しい感情が現れた時である。死亡の時には、読んで歴史学者が色々と考えることもある。

21世紀には、そのようないい記録を患者がつけたらどうだろう。医師も看護師も読むことができない日記のようなもの。退院の時には持って帰り、患者が死亡した場合には、家族に返す。きっと面白いものになると思う。

過去の頭部の骨から再現された人々の表情

My Modern Met から、歴史的な人骨の頭部を復元して実際の顔を再現する展覧会の記事。先入観があって衣装だとかアクセサリーをつける部分などもありましたが、法医学の死体検案から技術を学んでいるということが面白かったです。ぜひご覧ください。

 

mymodernmet.com

ジョージ3世の精神疾患について

今日はスミソニアンから。イギリス王のジョージ3世は精神疾患に罹り、一進一退であったが、晩年は悪い状態で死亡していった。これは間違いない事実である。映画もあるし、その映画は映画として非常に水準が高いので見てくださいな。

歴史学者精神科医にとって大きな難問は、何の精神疾患かという問いがある。このタイプの問いは、私は苦手であるし、距離を置くことが多い。その上で、それまではポルフィリン症という珍しい難病であるという議論を受け入れてきたが、新しい書物による結論ではbipolarであるとのこと。双極性障害とか躁うつ病と呼ばれる疾病である。

ポルフィリン症であるという結論は、軽々とつけられたものではない。非常に多くの史実に基づいて、ハンターとマカルピンと呼ばれる医師で精神医学史を切り開いた学者たちが到着した結論である。George III & The Mad Business という著作であり、医学史家たちが敬愛とともに扱っている診断である。ついでにいうと、Allan Bennett という優れた文人が舞台化してロンドンの国立劇場でも上演されたし、映画にもなり、どれも傑作であった。

今週末は、新しい本と、敬愛している古い本の両方を読みますね。

 

 

 

www.smithsonianmag.com

動物からの脳死者への臓器移植の実験

エコノミストの記事で、アメリカのNYで動物からの臓器移植が成功したとのこと。これはまだ実験であり、その素材は脳死者であるとのこと。特別な遺伝子操作をしたブタから腎臓を取り、それを脳死者の体内で三日間保つことができたとのこと。この流れの一つの原因は、多数の患者が臓器移植を望んでいること、障害を持つ小さな子供を持つ親たちがいることなど。この超先端医療が持つ、複雑で深い議論を分析する論文も読んでみました。一番面白かったのは、最後の部分で、こうやって作られた特殊なブタは何だろうかという問いでした。

Is the pig as a whole a medical device or a medicinal product? Or is the pig merely an incubator for the organ transplant?” 

 

www.economist.com

 

www.nature.com

アメリカの州立精神病院の廃墟

アメリカのジョージア州の州都であるアトランタから南東に100マイル離れた場所にかつて存在した巨大な州立の精神病院への観光業を取材した記事である。ミルジヴィル (Milledgeville) という古い町の郊外にできた州立病院。膨大な敷地に作られた精神病院で、全盛期には12,000の病床があった。1960年代から急激に縮小して、現在ではごくわずかの患者しかいない。

ほぼ廃墟である精神病院は逆の観光に用いられている。その中で私に一番印象に残ったのは、膨大な「墓」である。患者の名前はなく、番号が記されているだけの細い板が、無言で延々と建てられている。番号から誰の板かわかるからだろうが、星条旗が添えられたものもあった。

BBCの映像もなかなかいい。ただ、最初はセイシェルの観光産業がわりと長い広告をしていて、これは廃墟病院の観光とは話が違いますね(笑)

 

www.bbc.com

大都市の土木工事

大都市の歴史の中には大規模な土木工事をする期間があって、アムステルダム、ロンドン、パリ、江戸などは17世紀から18世紀に川や台地に関する大きな工事がされて、それぞれの都市の個性を作り上げていく。特に最近「江戸の近縁」に住むようになり、精神病院の場所を考えるようになって、都市の個性がもたらすメリットと、それに伴う弊害のことを考えている。

今日のスミソニアンは大都市のティオティワカンがどのように川や陸地を大規模に操作して、かつての大都市を復活させたのかという非常に面白い記事。“We don’t live in the past, but we live with the legacies of past actions.” という名台詞がいいです。ぜひお読みください!

www.smithsonianmag.com

日本人のDNAと結核の西高東低

しばらく前からネット上の英語サイトで話題になっている日本人のDNAについての記事。歴史的に古い人骨を分析して、これまでの二つのタイプに比べて三つのタイプのDNAのグループがあるとわかったとのこと。これまでは縄文型、弥生型の二つで説明できていたが、新たに古墳型があることがわかったとのこと。もともと日本列島にいた人々、朝鮮半島から移住した人々、そして中国から移住した人々であるとのこと。これまでのさまざまな事実から、そうではないかと思われていた理論を支える大きな証拠であるとのこと。本を楽しみにしていますが、ともあれ、おめでとうございます。

DNAを分類するという、私ができない議論なので、偉い先生たちにお伺いしたい問題ですが、有名な結核の問題は、このDNAの三つの型の問題と関係するのですか? 結核の死亡と罹患は、東北地方・関東地方では少なく、関西地方・九州地方では高いという事実があります。私には一つの謎でした。研究者たちも「西高東低」と読んでいます。現在の数字を出すと、大阪府罹患率岩手県罹患率を較べると、前者は後者の6倍もある高いです。この極端な差は、なぜ起きているのか。DNAなのですか?私はまだ調べて初めてもいないのですが、教えていただければ。 

 

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