Entries from 2015-08-01 to 1 month
昭和戦前期の王子脳病院の症例誌がどのようなシステムで記入されているかを考えるために、1960年代から70年代の診療記録の改革の重要な書物を読んだ。今は別の脈絡で有名な日野原重明が、40年前には医療の記録の根本について、論争と革命の書物を書いていた…
石黒忠悳(1845-1941)は陸軍軍医で軍医総監をはじめ要職に就いた人物である。医学的な業績については、日清・日露戦争における兵士の脚気の流行において、陸軍の被害を拡大することになる方法を示唆したため、医学史家の評価は低く、山下政三は『鷗外森林太郎…
静岡市美術館の展覧会に行く。実佳が静岡大学の教員ということで内覧会に招待され、その同伴者という形でお邪魔させていただいた。 展覧会は、フィラデルフィア美術館の浮世絵コレクションから精選されたものである。浅野先生のご講演を伺い、どう数えたのか…
2nd: ダグラス・スター『血液の物語』山下篤子訳(東京:河出書房新社、1999) これまで存在を知らなかったが、医学史の研究者はもちろん、医学・科学系のジャーナリストは必ず読まなければならない書物。学部生向けの授業であればリーディングリストに入れ…
Duffin, J. (1999). History of medicine : a scandalously short introduction. Toronto, Toronto U.P. 医学史の教科書や標準的な歴史書は、誰を読者にして、その読者に何を伝えたいかによってその構成が変わってくる。大きく分けると、医学部や看護学部な…
Kohn, G. C. (2008). Encyclopedia of plague and pestilence : from ancient times to the present. New York, Facts On File ; [London : Eurospan, distributor]. 古代から現在までの世界各地の流行病の歴史を700件のエントリーで説明している辞典。とて…
今日の記事は、いつも私が書く記事とはまったく違い、それどころか書かないようにしてきた個人的な性格を持つものだが、これは書いておく。 週末に、高校の同窓会に出た。卒業してからはじめてだから、30年以上もたって開かれた同窓会である。 私が卒業した…
ウェルカム図書館が所蔵する、イングランドの精神科医だったジェイムズ・アダムズ(1834-1908) の日記が、全文画像化されたファイルです。とても読みやすく、PDFで300ページほどのファイルをダウンロードもできます。アダムズは1500人ほどの患者を抱えた公立…
アーキビストの松崎さんがFBに投稿された情報です。 第39回 国文研フォーラム日時:平成27年9月16日(水)15:30~17:00(開場15:00)場所:国文学研究資料館 2階 オリンテーション室※参加無料、予約不要。※席に限りがあります。ご来場者が多数の…
本を探している時に、OCED Health の古いパンフレットが出てきて、それを眺めているうちに男女別喫煙率が面白かったので、新しい統計を解説したサイトを見つけてメモ。 北欧と英語圏の国、具体的にはスウェーデン、アイスランド、デンマーク、ニュージーラン…
色々な仕事を並行して進めていて、それぞれに滞っているが、一つ、新しい毛色の違った仕事を考えている。それが、視覚文化論との関係、それも現代まで繋ぐことができる視覚文化論の関係で医学史の仕事を一つできないだろうかということである。その関連で、…
カナダの医療人類学の大学院生が、日本の老年精神医療におけるロボットを用いたケアについてフィールドワークを望んでいます。この種のケアを実践している病院や医師などをご存じで、この大学院生と一緒にお仕事したい方、興味ある方など、私にご連絡いただ…
松岡秀明さんに論考「ハンセン病と短歌―映画<小島の春をめぐって」を頂いた。『小小島の春』は、長島のハンセン病療養所に勤務し、ハンセン病患者の医療に携わった医師、小川正子の回想的な小説である。1938年に出版されてすぐに大ベストセラーになり、22万…
浜田矯太郎「にせきちがい」『戦争×(と)文学 第11巻 軍隊と人間』(東京:集英社、2012)、 399-445ページ。原作は1948年の『勤労者文学』に掲載。 集英社から全30巻で刊行された『戦争×(と)文学』の第11巻『軍隊と人間』に掲載されている短編小説。主題は、…