Entries from 2016-01-01 to 1 year

精神医学の歴史と人類学 ワークショップ 2017年2月26日(慶應三田) 

皆さま、北中淳子・鈴木晃仁です。以下のワークショップを行いますので、どうぞご参加ください。 2月26日に精神医学の歴史と人類学のワークショップを行います。 第一部では、今年東大出版会から刊行されました『精神医学の歴史と人類学』(鈴木晃仁・北…

Madness in Modernist Tokyo 001 外交と精神疾患・犯罪に関する断片 

19世紀末から20世紀中葉までの日本の精神医療の構成には、外交も一つの背景をなしていた。ことに、この書物が扱う時代の始まりと終わりの双方において、二つの重要な外交上の事件に挟まれる形になっていることに注意を喚起したい。すなわち、1891年の大津事…

山下麻衣『看護婦の歴史』(2017)

山下麻衣さんの『看護婦の歴史』(2017)をご恵贈いただいた。山下さんは、新しい視点の看護の歴史と着実な実証の手法を組み合わせた研究者で、長いこと教えられることが多かった。まずは序章だけを読ませていただいたが、欧米での新しい看護の歴史の研究の…

夢の記録―近代以前

日本における夢の記録、幻想の記録、妄想の記録は、西欧の精神医学の導入よりもずっと以前から独自の伝統を持っていた。 夢に関しては、仏教の中に、人々が見た夢を記録し、それを解釈することが、中世から近世にかけて行われて社会に広く定着していたと考え…

ハンセン病と精神疾患―日葡辞書より

土井, 忠生, 武 森田, 実 長南, and Jesuits. 日葡辞書 : 邦訳. 岩波書店, 1980. 日葡辞書で精神疾患について簡単に調べたことをメモ。日葡辞書は1603年に刊行された、イエズス会の布教のための、ポルトガル語を中心とした辞書。約3万2千語を掲載する非常に…

ヒロポンーヒロポンがもたらしたもの

金原、種光. "気管支喘息患者に見られた妄覚妄想症候群." 精神神経学雑誌 60(1958), no. 12: 1248-51. 日本の戦争直後のヒロポン中毒の問題に関して、仕事をしてみようかなという漠然とした予感のようなものがある。この論文も書いているが、ヒロポンという…

コレラの下痢は男子の精液の匂い?+教えていただければ

"仏蘭西人コレラ治方上申." 中外医事新報, no. 373 (1895): 1024-205. 安政のコレラ流行の時には、諸外国からコレラの治療法についての助言があったが、これはフランスのラフラス船号の第三等医師、アンスリンによる処方。「三宅医学博士の家に蔵せられる」…

病院の歴史ワークショップ(大阪大学)演題募集 2017年3月17日・18日 

演題募集 病院の歴史 / 歴史の中の病院 ― 学際的アプローチ 開催場所:大阪大学・中之島センター 開催日程:2017年3月17日・18日 現代の世界において、<病院>は重要な医療機関となっている。病院は、ヘルスケアシステムの中核に存在し、出産と死亡が起きる…

CFP for History of Hospitals Workshop (17-18 March 2017)

Call for papers History of Hospitals – Hospitals in History: a multidisciplinary approach Hospital is today a major medical institution throughout the world. It is at the same time the core of health care systems (where more and more peopl…

新国立劇場『ルチア』公演(2017年3月)のお知らせ

女性の狂気を描いたオペラの白眉である『ルチア』の公演。2017年の3月に新国立劇場で。本当に恥ずかしい話ですが、舞台で観るのはこれが初めてです。時間の余裕があれば、少し学術的なことも調べてから観ようと思っています。 新国立劇場Webボックスオフィス…

江戸時代の医師と階級

江戸時代の医師と階級制度について。士農工商の士と農工商の経界を跳び越すことができた数少ない職業の一つの医者であった。実際には医者はサービスや薬を提供して、それに対して報酬を得るサービス業・小売業であったが、商人とは異なるという強い意識を持…

種子島の伝統(日本野鳥の会の会誌より)

日本野鳥の会の会誌『野鳥』の今月の特集は種子島。もちろん鳥や生態系の話題が中心だが、種子島の郷土史家の鮫島安豊の「種子島の歴史・民俗」という文章も掲載している。生態系の話と歴史が共存し合体していくのは、非常にいい傾向だと思う。たしかにこの…

災害頻発性神経質、あるいは人格的危険階級

Burnham, John C. Accident Prone : A History of Technology, Psychology, and Misfits of the Machine Age. Chicago, Ill. ; London: University of Chicago Press, 2009. 平松、真兵衛. "工場災害の生物学的研究 特に 血液型と工場災害並に性向との関係に…

コンファレンスの演題募集 <測定と自己形成> 

2017年6月末にユトレヒトでコンファレンスの演題募集。<測定と自己形成>という興味深い主題です。 Call for Papers Workshop Histories of Measurement and Self-making. | H-Sci-Med-Tech | H-Net Call for Papers Workshop Histories of Measurement and…

日本におけるジェンダーと医学の歴史―シンポジウムのお知らせ

2016年11月1日に、アメリカのジョンス・ホプキンス大学にて、日本のジェンダーと医学の歴史のシンポジウムが開催されてます。オーガナイザーはホプキンス大のユミ・キム先生、スピーカーは、江戸時代の医療の歴史の研究者であるエヴァン・ヤング先生(ディキ…

江戸の医者における異なった格―三田村鳶魚より

江戸時代の医者、あるいは江戸の医者には、さまざまな格の違いが存在した。上からいうと、将軍の侍医である奥医者、将軍に謁見できるお目見え医者、患者の家に往診するときに長棒の籠に乗る乗物医者、最後が歩いて患家に行く徒歩医者(かちいしゃ)である。…

瀬戸内国際トリエンナーレ・大島ハンセン病療養所の展覧会評 (Medical History)

ハンセン病回復者の療養所がある香川県の大島。瀬戸内国際トリエンナーレに出展しています。大手前大学のハンセン病文学の研究者、キャサリン田中さんによる展覧会評が Medical History vol.60, issue 4 (2016) に掲載されました。 展覧会評はこちらです htt…

新国立劇場 『ワルキューレ』 

新国立劇場でワーグナー『ワルキューレ』を観る。曲も馴染みやすいし、リリカルな歌も数多く、ストーリーも緊密感があって、『指輪』4部作の中ではもちろん随一の人気作品であるし、オペラ全体の中でも、ワグネリアンでないオペラ愛好家に人気が高い作品であ…

『肥満のメタモルフォーシス』 ― ヴィガレロの新著のペーパーバック化

ジョルジュ・ヴィガレロはフランスの歴史学者。身体や健康を中心にした多くの主題の歴史を書き、日本語の翻訳も、『清潔(きれい)になる「私」』『強姦の歴史』『美人の歴史』『身体の歴史』(共著)など数多い人気の著作家。 彼の新作の英訳が『肥満のメタ…

クリスチャン・ボルタンスキー展覧会(東京都庭園美術館 9/22-12/25)

白金台の東京都庭園美術館で、クリスチャン・ボルタンスキーの展覧会。展示は昨日始まって、12月末まで。今学期の大学院のセミナーの後に学生と一緒に行けるといいと思っている。 ボルタンスキーという現代芸術の作家の名前を最初に聞いたのは、愛知美術館の…

闘病記研究会の開催のお知らせ 

闘病記研究会フォーラム 「闘病記が出版される意義・読まれる意義」 闘病記は患者さんやそのご家族が読む本と思われがちですが、看護師さんによる闘病記読書会や看護学生の授業でも活用されて始めています。また、市民による闘病記の自費出版を希望する方も…

フィッツジェラルドと精神医療と文学・メモ

石塚さんが編集された短編集『病短編小説集』で、不眠に関するフィッツジェラルド(『華麗なるギャツビー』)の傑作を読んだあと、たまたま、エコノミストでフィッツジェラルドの「新作」の記事を読んだので。 きちんと調べなければならないのだけれども、ス…

Keio Young Scholars' Workshop on the History of Medicine, Disease, and the Body (21 Sept)

We are going to have young scholars' workshop on the history of medicine, disease, and the body on 21 Sept 2016 at Dokuritsu-kan (Building no.4), D-206 at Hiyoshi Campus of Keio Univeristy. As a development of the graduate seminar of Keio …

医学史の「アウトリーチ」についてのワークショップ(9月2日・3日)

日本における医学史研究が、さまざまな経路と要因を通じて、学問的な水準を着実に上昇させています。この方面で何をすればいいのか、どんな史料を確保し、どんな方法論や視点を発展させればいいのか、そのような学者の間での議論も行われるようになりました。…

講演 兵頭晶子 「<生きている>ということを取り戻す ――『プシコナウティカ』と『千と千尋の神隠し』」(9月24日)

『精神医療と日本近代』(2008)などで知られる若手研究者の兵頭晶子さんが、9月24日に講演をいたします。以下のファイルをご覧ください。

マックス・プランク研究所(科学史) リサーチ・オフィサーの公募

ベルリンのマックス・プランク研究所でポスト・ドクトラル・フェローを公募しています。アジア地域の科学技術と医学の歴史の研究者が求められています。ぜひご応募ください! Please see information below on the new position advertised at the MPIWG in …

Journal of the History of Medicine and Allied Sciences vol.31, no.3

Table of Contents — July 2016, 71 (3) Journal of the History of Medicine and Allied Sciences の最新号の目次。読んだのは要約だけですが、紹介します。 19世紀末から20世紀初頭の外科の国際化の研究、19世紀パリの病理学におけるガン研究、19世紀末か…

Social History of Medicine 29_3 (August 2016)

Social History of Medicine 29_3 (August 2016) の目次が公開。今回も面白い記事が多い。17世紀から19世紀のロンドンで死因を確定する仕事をしていた女性の「サーチャー」の研究。18世紀ブラジルのミナス・ジェライス州で、アフリカから輸送されてきた奴隷…

『精神医学の歴史と人類学』 (東大出版会、近刊)

東大出版会より近刊の『精神医学の哲学』全3巻。人文・社会科学による精神医学の再検討と、精神医学の内からの反省が組み合わされた論文集です。 第2巻は慶應義塾の同僚、北中淳子先生と共編した『精神医学の歴史と人類学』。合計9点の論考で、歴史と人類学…

History of Medicine in East Asia -- Workshop at Todai Komaba 15-16 July

We will have a workshop on history of medicine in East Asia on 15-16 July at Todai Komaba. Seven scholars will give papers on the history of medicine, disease, and the body in East Asia in the early modern and modern periods. Everybody is …