Entries from 2014-04-01 to 1 month

ラインベルガー先生ワークショップ(5月3日―4日) 

“Science and Society” Workshop (No. 1) in Hayama. May 3 and 4, 2014 Observational and Experimental Objects: Science Studies of Materials and Instruments in the Laboratory and the Field In the past decades, experimental and observational as…

ラインベルガー先生講演会「遺伝子と遺伝学・過去と現在」

ハンス=ヨルク・ラインベルガー先生講演会 "Genes and Genetics, Past and Present" 5月9日(金)18.30-20.00 慶應義塾大学 三田キャンパス 南校舎7階475教室 ラインベルガー先生は、マックス・プランク科学史研究所(ベルリン)の所長をつとめ、生命科学の…

優生保護法と精神疾患・「精神薄弱」の不妊手術

Matsunaga Ei, “Birth Control Policy in Japan: A Review from Eugenic Standpoint”, Japanese Journal of Human Genetics, vol.13, no.3; 189-200, 1968. 1955年から1967年の優生保護法の適用例のデータを使って、戦後日本にとっての優生学の意義を探ると…

「徴用神経症」(1944)

安河内律「徴用神経症(仮称)に就て 『ゲシタルト』全体論的成因の考察」『実地医家と臨床』21巻1号(1944), 8-10. アジア太平洋戦争期において、兵士においては戦時神経症が発生し、その治療と対策が大きな問題になったことは、古くは清水寛の研究、新し…

江副追悼文の中の朝鮮農村衛生調査のエピソード

都立松沢病院医局編『故江副勉先生 追悼記念文集』(非売品、1973) 戦後の松沢病院と日本の精神医療の改革を指導した骨太の精神科医である江副勉(1910-71)の追悼記念文集を読む。江副の偉大さがよく分かる文章が集められており、松沢の精神科医たちとの交流…

コレラ流行と日本医療の性格付け

明治26(1893)年に全国で天然痘と赤痢で6万人を超す死者を出していたころ、当時東大医学部で教えていたドイツ人の医師エルウィン・ベルツは駒込の避病院を訪れたときの印象をこのように日記に記した。 「3月10日、学生たちと駒込の天然痘病院を訪れた。醜態…

満州医科大学・精神神経科教室の業績

田村幸雄・熊田正春編集『中国東北(旧満州)における民族・民俗と精神病(旧満州医科大学精神神経科教室業績集)』(n.p., 1983) 満州医科大学の精神神経科教室は、1914年につくられて、1945年の敗戦とともに消滅した。満鉄が奉天に「南満医学堂」を設立し…

犯罪の原因としての狂気・処罰としての狂気

Padel, Ruth, Whom Gods Destroy: Elements of Greek and Tragic Madness (Princeton: Princeton University Press, 1995). Padel, Ruth, In and Out of the Mind: Greek Images of the Tragic Self (Princeton, NJ.: Princeton University Press, 1992). ル…

『歴史における周縁と衛生―女性・穢れ・衛生』(2014)

鈴木則子編『歴史における周縁と衛生―女性・穢れ・衛生』(京都:思文閣、2014)が刊行されました。出版社のサイトからの転載です。 本論集では、日本の歴史のなかで女性の周縁化(地位の劣化)が進行していく過程を、その身体に対する認識の歴史的変化に着目…

漁村への天然痘の侵入を素材にした歴史小説

尊敬する医学史の研究者に勧められて、吉村昭『破船』を読む。1982年に出版され、Kindle で読んだ。ミステリー小説ではないが、以下の記事にはネタバレがあります。 江戸時代の孤立した村に天然痘が侵入した悲劇を描いた作品である。吉村の作品だから、ある…

種痘は大惨事に対する英雄的な行為だったか

吉村昭『雪の花』を読む。幕末の福井藩における天然痘に対する種痘政策の成功を描いた中編小説である。主人公は福井藩の町医者の笠原良策である。物語は、福井藩における良策の人道的な情熱と種痘導入の努力が中心となり、その周りに、種痘をはじめとするオ…

1903年の女医論―「分離された領域」における女医の進出

高田耕安「女医に就て、並にモル氏著医人道義学に就て」『医談』79号, 1903: 9-12. 奨進医会なる明治の医学団体の『医談』に掲載された女医についての論考。奨進医会は富士川游が関与した団体で、医学史や欧米の医学論を盛んに紹介した。その初期の雑誌であ…

Rheinberger 先生とワークショップ(京都)

総研大の伊藤憲二さんが招聘されたRheinberger 先生のワークショップ(京都)のご案内です。 第7回 科学技術の民族誌研究会「実験システムと知識の交差点」Experimental Systems and Intersections of Knowledge: A Dialogue between Hans-Jörg Rheinberger …

災害と精神医学・1970年の論文を二つ

畑下一男「災害神経症の臨床」『災害医学』vo.13, no.11, 1970: 952-955. 「本誌のような災害医学の名のもとに、それに関連した学術的な記事をもって編集されている医学誌のなかで、わたしども精神医はどのような視点に立って発言したらよいのか、その辺のと…

ループ効果についてメモ

MacIntyre, Alasdair, “How psychology makes itself true-or false”, in Sigmund Koch and David E. Leary eds., A century of psychology as science (Washington: American Psychological Association, 1985), 897-903. ハッキングの「ループ効果」のイン…

精神病院の脳の標本の会話(1932)

下柳七郎「脳漿の夢魔―ファンタジイ・プシコパトロジック―」『犯罪公論』vol.2, no.2, 1932: 240-244. 精神病患者に何かを語らせる文化的なパターンは、精神医学の発展とともに発展した。これについては、人々の間にわりと大きな誤解があって、精神医学は精…

エリス島の移民管理局の医学

マリオン・コティヤールが主演した映画『エヴァの告白』は、ポーランドからアメリカに移民した女性を描いた作品である。主人公のエヴァはポーランド出身の若い娘で、両親を戦争で失って妹と二人でアメリカに移住した。妹の結核が移民管理局で医者に発見され…

2014年大学院授業

2014 大学院授業 今年の大学院の授業は4月9日水曜日2時限(10.45-) 慶應三田キャンパスの351-B の部屋になります。 目標―医学史入門・ディスカッションの作法・外国語エッセイの練習 1. 医学と医療の社会史における基本的な研究文献、基本的な一次資料のうち…