鈴木則子編『歴史における周縁と衛生―女性・穢れ・衛生』(京都:思文閣、2014)が刊行されました。出版社のサイトからの転載です。
本論集では、日本の歴史のなかで女性の周縁化(地位の劣化)が進行していく過程を、その身体に対する認識の歴史的変化に着目しつつ、宗教/儀礼/穢れ/医学/衛生という、主として五つの側面から検討をくわえ、明らかにする。
仏教と神道等の諸宗教における女性認識の諸相、血穢などに対する地域社会の対応の展開、伝統的医学・近代医学双方からみた病気や女性身体観の変容、近代衛生思想における女性役割の位置づけ等について、新しい視点から提示した共同研究の成果。
序 文 鈴木則子(奈良女子大学研究院教授)
Ⅰ 宗教/儀礼/穢れ
善光寺と女人罪業観 平 雅行(大阪大学大学院文学研究科教授)
富士講・不二道の女性不浄観批判 ―妊娠と出産についての言説を中心に― 宮崎ふみ子(恵泉女学園大学人間社会学部教授)
奈良の伝統的祭礼と女性―歴史民俗学的視座からの分析― 武藤康弘(奈良女子大学文学部教授)
古代浴衣復元のための覚え書き 武田佐知子(大阪大学大学院文学研究科・文学部教授)
女性と穢れ―『玉葉』を手がかりとして― 加藤美恵子(滋賀県立大学大学院人間文化学研究科博士後期課程修了)
宗教都市におけるケガレの操作と「清浄」概念の共有 濱千代早由美(皇學館大学・帝塚山大学非常勤講師)
近世における北野社門前の社会構造―芸能・茶屋興行を中心に― 三枝暁子(立命館大学文学部准教授)
Ⅱ 医学/衛生
中国医学における感染症認識 白杉悦雄(東北芸術工科大学デザイン工学部教授)
江戸の結核―「恋の病」考― 鈴木則子
衛生思想の中の女性―その周縁性と共生性― 瀧澤利行(茨城大学教育学部教授)
眼の感染症にみられる女性観―眼の通俗衛生と女性― 尾鍋智子(大阪大学特任准教授)
規範としての「自然」―江戸時代の育児書を手がかりに― 梶谷真司(東京大学大学院総合文化研究科准教授)
不妊の原因としての淋病―明治・大正期の庶民の生殖観の変化と買春の問題化― 林 葉子(大阪大学大学院文学研究科助教)
『青鞜』への道―保持研と南湖院― 池川玲子(東京女子大学他非常勤講師)
後記
執筆者紹介