Entries from 2008-05-01 to 1 month
デューラーの自画像の分析は、同じ著者の別の論文で分析されているのを読んだものでした。この絵は、昨日記事にしたBody Emblazoned では分析されていないのに、なぜこの画像を思い出したのかと不思議に思っていたのですが、そういうごく単純な理由だったの…
必要があって、ルネッサンス期の文学の中に見られる「解剖」の文化を分析した書物を読み直す。文献は、Sawday, Jonathan, The Body Enblazoned: Dissection and the Human Body in Renaissance Culture (London: Routledge, 1995)「解剖」という行為は、医学…
ヴェサリウスの解剖図譜の古典的な分析を読み直す。文献は、Harcourt, Glenn, “Andreas Vesalius and the Anatomy of Antique Sculpture”, Representations, 17(1987), 28-61.1543年に、歴史上最も重要な解剖図譜が出版された。パドヴァ大学の解剖学講師のア…
必要があって、映画『ブレードランナ』の原作、『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を読む。フィリップ・K・ディックが1968年に出版したSF小説で、浅倉久志の訳がハヤカワ文庫から出ている。映画の視覚的効果も素晴らしかったけれども、原作のほうが…
必要があって映画『ブレードランナー』を観る。1982年に公開で、リドリー・スコット監督、ハリソン・フォード、ルトガー・ハウアー、ショーン・ヤングらが出演。以下はネタバレがあります。2019年のロスアンジェルスに設定された近未来映画。人造人間の技術…
今日は無駄話を書く。これほどの無駄話も珍しいかもしれない。園芸をしているとやはりナメクジに出くわす。バラの葉やつぼみを食べつくすわけじゃないし、「不快である」というのが主な欠点である害虫だと思っていた。不快であるという理由だけでその生き物…
しばらく前に出したクイズの答えです。 重要な順に正解を言いますね。D この場面の主人公です。 年配の医学部の講師です。 朗読にあわせて、解剖された死体の部分を指示・説明します。 A 医学部の助教です。 若く、壇上に腰掛け、教科書(モンディーノの『…
確かめたいことがあって、優生学の歴史の古典を読みなおす。文献は、Kevles, Daneil J., In the Name of Eugenics: Genetics and the Uses of Human Heredity (Cambrdige, Mass.: Harvard University Press, 1995).8-11章は、1920年代から40年代を扱ってい…
必要があって、遺伝子学の歴史を簡単にまとめた論文を読む。文献は、Turney, John and Brian Balmer, “The Genetic Body”, in Roger Cooter and John Pickstone eds., Companion to Medicine in the Twentieth Century (London: Routledge, 2002), 399-416.…
昨日に引き続いて、未読山の中の頂いた論文を読む。文献は、内田正夫「隔離と消毒-明治のコレラ対策における予防と治療」原田勝正編『「国民」形成における統合と隔離』(東京:日本経済評論社、2002)、263-304.明治期のコレラに対する政府と医学者たちの…
未読山の中から、日露戦争の陸軍の脚気について論じた頂いた論文を読む。文献は、内田正夫「日清・日露戦争と脚気」『和光大学総合文化研究所年報 東西南北2007』144-156.日清・日露戦争は、陸軍と海軍の脚気対策の違いをまざまざと見せつけた戦争であった。…
必要があって、ルネッサンスの自然哲学者、ジロラーモ・カルダーノの自伝を読む。文献は、Cardano, Girolamo, The Book of My Life, introduction by Anthony Grafton (New York: New York Review of Books, 2002).カルダーノは代数学(三次方程式の解法を示…
未読山の中から、カンポレージの食物論に目を通して、一章を読む。文献は、Camporesi, Piero, The Magic Harvest: Food, Folklore and Society (Oxford: Polity, 1999)カンポレージのいつもの博識と奇抜で詩的な着想が全開の書物で、食物のことをきちんと考…
必要があって、ハル・フォスター編『視覚論』を読み返す。榑沼範久訳で、平凡社ライブラリーから2007年に再刊された。シンポジウムで読まれた五つの論文に加えて、個別のディスカッションと全体討議をそのまままとめた本を、そのまま訳したという面白い来歴…
必要があって、ルネッサンスの医学と哲学と人文主義についての古典的な論文を読む。文献は、Bylebyl, Jerome L., “Medicine, Philosophy and Humanism in Renaissance Italy”, in John W. Shirley and F. David Hoeniger eds., Science and the Arts in the …
必要があって、17世紀オランダの解剖劇場を分析した論文を読む。文献は、Rupp, Jan C.C., “Matters of Life and Death: the Social and Cultural Conditions of the Rise of Anatomical Theatres, with Special Reference to Seventeenth Century Holland”, …
1960年にノーベル医学生理学賞を受賞したフランク・マクファーレン=バーネットの「自己」概念の起源についての論文を読む。文献は、Park, Hyung Wook, “Germs, Hosts, and the Origin of Frank Macfarlane Burnet’s Concept of “Self” and “Tolerance”’, Jo…
必要があって、聞き取り調査に基づく1930年代の母親たちの衛生実践についての論文を読む。文献は、宝月理恵「1930年代母親の衛生実践の一局面 - 新中間層家庭における -」『ソシオロジ』51(2007), 125-141.1925年-30年くらいに生まれた人たちで、東京女…
必要があって、12世のビザンティン帝国の首都に建設された「現代を先取りしている」病院を研究した本を読む。文献は、Miller, Timothy S., The Birth of the Hospital in the Byzantine Empire, with a new introduction by the author (Baltimore: The John…
必要があってガレノスの「医術」(The Art of Medicine)を読み直す。文献は、Galen, Selected Works, trans. by P.N. Singer (Oxford: Oxford University Press, 1997). このシンガー訳は、英語で手軽に読めるガレノスの選集としてとても重宝なもので、オク…
1495年に出版された解剖教育のようすをあらわした有名な図像を論じた論文を読む。医学史の古典的な画像が実はよく分かっていないことから出発して、博識と学問の蘊奥を惜しみなく注いだ論文。Bylebyl, Jerome J., “Interpreting the Fasciculo Anatomy Scene…
必要があって、20世紀の免疫学についての入門的な解説を読む。文献は、Moulin, Anne Marie, “The Defended Body”, in Roger Cooter and John Pickstone eds., Companion to Medicine in the Twentieth Century (London: Routledge, 2000), 385-398.入門的な…
必要があって、映画『シザーハンズ』を観る。1990年の作品で、ティム・バートンが監督、ジョニー・デップ、ウィノナ・ライダー他が出演している。デップのキャリアにとって、この作品は個性派の俳優への一つの転機になり、また現在に至るまで続いているバー…
メチニコフについての本格的な研究書を読む。文献は、Tauber, Alfred T. and Leon Chernyak, Metchnikoff and the Origins of Immunology: from Metaphor to Theory (Oxford: Oxford University Press, 1991).メチニコフの白血球/食細胞の概念の起源と、その…
必要があって、初期の細菌学・免疫学の概念史を扱った著作を読む。文献は、Mazumdar, Pauline M.H., Species and Specifity: an Interpretation of the History of Immunology (Cambridge: Cambridge University Press, 1995).目からうろこが落ちる、という…
必要があって、映画『A.I.』を観る。スタンリー・キューブリックの構想に基づいて、キューブリックの死後、スピルバーグが監督して2001年に公開される。ハーリー・ジョエル・オスメント、ジュード・ロウなどが出演。以下はネタバレがあります。ストーリーの…
未読山の中から、精神病の湯治場として名高い定義温泉(じょうげおんせん)の歴史についての論文を読む。文献は、寺山晃一「定義の湯」『福島県医師会報』No.44(1982), 12月号、68-75. 昼田源四郎「『気違いの湯』―定義温泉の歴史聞書」『日本医史学雑誌』23…
未読山の中から、フランスの小説家シャトーブリアンの短編『ルネ』を読む。同じアメリカ新大陸に設定されたもう一つの短編『アタラ』とともに、昭和十三年の畠中敏朗訳で岩波文庫に収められている。満たされない狂おしいような思いに懊悩して社会に背を向け…
鎌状赤血球の謎が解かれていく過程で書かれた論文を読む。文献はLivingstone, Frank B., “Anthropologial Implications of Sickle Sell Gene Distribution in West Africa”, American Anthropologist, 60(1958), 533-562.鎌状赤血球をもつ人間は、貧血症状な…
未読山の中から、衛生のグローバル化を鳥瞰したサーヴェイを読む。文献は、Fidler, David P., “The Globalization of Public Health: the First 100 Years of International Health Deplomacy”, Bulletin of the World Health Organization, 79(2001), 842-8…