Entries from 2007-12-01 to 1 month
DVDでイギリス王政復古期の詩人のロチェスターを主人公にした映画『リバティーン』を観る。主演はジョニー・デップ、チャールズII世にジョン・マルコヴィッチ、あとはイギリスの若く才能があり達者な女優・俳優たちが見応えがある演技をしている。クロムウェ…
だいぶ前に「珈琲時間」のqianyumikoに推薦していただいた、中国のエイズ流行を素材にした小説を読む。文献は、エン連科『丁庄の夢―中国エイズ村奇談』谷川毅訳(東京:河出書房新社、2007) ゆみこさんのブログはこちらです。http://blogs.yahoo.co.jp/qian…
病原体による南北アメリカ大陸の原住民の殲滅についての研究書を読む。文献は、Cook, Noble David, Born to Die: Disease and New World Conquest 1492-1650 (Cambridge: Cambridge University Press, 1998). コロンブスによる「新大陸の発見」以来、南北ア…
未読山の中から、アイラ・レヴィン『ローズマリーの赤ちゃん』高橋泰邦訳(東京:早川書房、1968) を読む。あまりに未読山に長くあったので、なぜこの本を読まなければならないのか分らなかったけど、少し読み出して、これは必読書だと思い出した(笑) 同…
アヴィセンナ『医学の歌』の日本語訳を買ってしまった。文献は、アヴィセンナ『医学の歌』志田信男訳(草風館、1998)。アヴィセンナ(イブン・スィーナー)は10世紀から11世紀に活躍したペルシアの学者で、ヨーロッパでは『医学典範』というギリシア医学な…
マックス・エルンスト『カルメル修道会に入ろうとしたある少女の夢』を読む。巌谷國士訳の河出文庫。エルンストのコラージュ・ロマンの第二作。『百頭女』が旅行記で、『慈善週間』が自然哲学の百科辞典のジャンルに沿っているとしたら、『カルメル修道会に…
未読山の中から、平塚らいてうが避妊・中絶を擁護した理由を分析した議論を読む。文献は、石崎昇子「生殖の自由と産児調節運動―平塚らいてうと山本宣治」『歴史評論』No.503(1992), 92-107.明治期の日本の刑法は「堕胎罪」を定め、妊娠中絶をした女性や医師…
カンポレージの18世紀キュイジーヌ革命論を読む。文献は、Camporesi, Piero, Exotic Brew: the Art of Living in the Age of Enlightenment (Oxford: Blackwell, 1994).しばらく前に記事にした Food in World Historyで、18世紀には、社会の上層に供される美…
本当はこんな本を読んでいる時間はないのだけれども、新着本を読み始めたら止められなくなってしまって、一時間ほどかけて面白い章を二つ読んでしまった。文献はHughes, Kathryn, The Short Life and Long Times of Mrs Beeton (New York: Anchor Books, 200…
必要があって、20世紀以前の遺伝概念についての論文集を読む。文献は、Staffan Mueller-Wille and Hans-Joerg Rheinberger eds., Heredity Produced: at the Crossroads of Biology, Politics and Culture, 1500-1870 (Cambridge, Mass.: The MIT Press, 200…
必要があって、宮島幹之助『熱帯生活の常識』(京都:人文書院、1942) を読む。大東亜共栄圏で、大陸型気候の満州と並んで、熱帯に存する「南方」への進出が構想されると同時に、医学界は南方医学・熱帯医学ブームに沸き立った感がある。昭和16年の医学雑誌…
必要があって、精神分析の歴史のポイントをコンパクトにまとめた小論を読む。文献は、Shamdasani, Sonu, “Psychoanalytical Body”, in Roger Cooter and John Pickstone eds., Companion to Medicine in the Twentieth Century (London: Routledge, 2000),30…
必要があって、明治の日本橋を回想した随筆を読んで、当時のコレラについての記述を見つける。文献は、長谷川時雨『旧聞日本橋』(東京:岩波文庫、1983)明治12年に日本橋の油町で生まれ、後に女流劇作家の第一人者となった長谷川時雨が、彼女の子供時代を…
注文しておいた本が到着して興奮してすぐに手にとってみた。現代のものとしては初めてのディオスコリデス『マテリア・メディカ』の英語訳。文献はDisocorides, De Materia Medica, translated by Lily Y. Beck (Hildesheim: Olms, 2005). 紀元一世紀後半に活…
未読山の中から、20世紀の疾病構造についての大家の論文を読む。文献は、Doll, Richard, “Major Epidemics of the 20th Century: From Coronary Thrombosis to AIDS”, Journal of the Royal Statistical Society, ser.A., 150(1987), 373-395. 20世紀は死亡…
しばらく前のクイズの答えです。http://blogs.yahoo.co.jp/akihito_suzuki2000/50902242.htmlナイチンゲールの『看護覚え書』の冒頭近くです。<良い看護が行われているかどうかの判定するための規準としてまず第一にあげられること、看護者が細心の注意を集…
頂いた論文を読む。文献は宝月理恵「身体化される衛生経験―昭和前期の健康管理をめぐる男性の語り」『F-GENS』September 2007, 31-38. ヒストリオグラフィの整理から始まる論文である。先日取り上げた成田龍一らの研究の方向をフーコーの影響を受けた生権力…
未読山の中から、1900年代くらいの女性の身体の構築を論じた論文を読む。文献は成田龍一「衛生環境の変化のなかの女性と女性観」女性史総合研究会編『日本女性生活史4 近代』(東京:東京大学出版会、1990), 89-124. カルスタ系の日本近代女性の身体の歴史…
山口仲美さんの書物から借用した源氏物語クイズの答えです。 http://blogs.yahoo.co.jp/akihito_suzuki2000/50856278.html「あざあざ」色鮮やかなさまを表すことばで、紫の上「けざけざ」輪郭がはっきりしたさまを表すことばで、知的な玉蔓「おぼおぼ」おぼ…
必要があって、ナイチンゲール『看護覚え書』を読み返す。湯槙ます他の翻訳が現代社という看護系の書物を出している出版社から出ていて、その改訳第6版で読んだ。看護の歴史は日本では比較的ポピュラーな医学史の一分野である。欧米では女性史の視点を入れ…
少し時間にゆとりができたので、マックス・エルンスト『慈善週間または七大元素』をゆっくり眺めて読む。巌谷國士の訳が河出書房文庫から出ている。エルンストが1934年に出版した『慈善週間または七大元素』は、『百頭女』(1929)、『カルメル修道会に入ろう…
昨日に続いてオノマトベについて。繰り返しになるが、文献は、山口仲美『犬は「びよ」と鳴いていた - 日本語は擬音語・擬態語が面白い』(東京:光文社新書、2002)。いつもご訪問ありがとうございます。昨日記事にした本を読んでいたときに、皆さまにお力…
知人に薦められた本を読む。山口仲美『犬は「びよ」と鳴いていた - 日本語は擬音語・擬態語が面白い』(東京:光文社新書、2002)こういうのを学海余滴というのだそうだが、偉い学者が一般向けに書き下ろした新書で、とにかく面白い知識が満載である。新書…
未読山の中から、タスマニアの解剖についての立法を読む。文献は、MacDonald, Helen, “A Scandalous Act: Regulating Anatomy in a British Settler Colony, Tasmania 1869”, Social History of Medicine, 20(2007), 39-56. 1869年に、当時イギリスの植民地…
必要があって、中世の女性医療者の歴史についての古典的な論文を読む。文献は、Green, Monica, “Women’s Medical Practice and Health Care in Medieval Europe”, Signs, 14(1989), 434-473. 20年近く前に書かれた論文だけど、緻密なスカラーシップとダイナ…
必要があって、麻疹の致命率に関する論文を読む。文献は、Aaby, Peter, “Severe Measles in Copenhagen, 1915-1925”, Reviews of Infectious Diseases, 10(1988), 452-456; idem., “Malnutrition and Overcrowding/Intensive Exposure in Severe Measles Inf…
必要があって、カレル・チャペックの「長い長いお医者さんの話」を読む。家にあった中野好夫訳の岩波少年文庫版で読んだ。話の発端は、山に住んで悪戯をして人を困らせていたマジャーシュという魔法使いが、あるときウメの種を喉に詰まらせてしまうことであ…
未読山の中からもう一つロンドンのペストの本を読む。文献は Bell, Walter George, The Great Plague in London in 1665 (London: John Lane, 1924). 著者は前世紀初頭に多くの本を書いたロンドンの好古家で、同書はロンドンのペストについての古典的な名著…
必要があって、ロンドンの1665年のペストの最新の研究書を読む。文献は、Moote, A. Lloyd and Dorothy C. Moote, The Great Plague: the Story of London’s Most Deadly Year (Baltimore: The Johns Hopkins University Press, 2004).16世紀の半ば以降、1665…
未読山の中から、南アフリカの黒人の健康問題を定位する枠組みの変遷をたどった論文を読む。文献は、Packard, Randall M., “The ‘Healthy Reserve’ and the ‘Dressed Native’: Discourses on Black Health and the Language of Ligitimation in South Africa…