Entries from 2017-10-01 to 1 month

ピルについて―その2 古典的な説明のラジオ版

www.bbc.co.uk 昨日はたまたま一般誌の記事から拾ってピルについて書いた。その話を少し入れようかと思っていた避妊の歴史を話す授業は、早慶戦の月曜延長で休講になったので来週になり、何かいい話はないかと思って少し探したら、BBCの「近現代経済を作った…

ピルという新しい問題ー欧米における避妊の転機

www.sweeteningthepill.com 日曜の朝にVogue UK 版をのんびり読んでいて、少し気になった記事があったから読んでみた。予想したよりも大きな内容で、学者として、それから教育者として、まじめに考えなければならない主題である。内容は女性が避妊のために服…

大英博物館の新しい展示―神々と生きること

www.bbc.co.uk 大英博物館の展示と、それとタイアップしたBBCのラジオ番組が始まった。タイトルは Living with the Gods である。現代という時代にとって、色々な意味で宗教は重要な主題であり、宗教を信じることを見直すことが、これほど大きな世界的な課題…

芭蕉と伊良湖岬のタカと鳥の巣の話

日本野鳥の会の月刊誌『野鳥』の2017年11月号が面白い。冒頭に松尾芭蕉が貞享4年(1687)年に伊良湖岬に鷹を見に行った時の俳句が掲げられている。 鷹一羽 見つけてうれし 伊良湖崎 伊良湖岬は私は行ったことがないが、タカの渡りの名所である。秋の10月くら…

「私宅監置と日本の精神医療史」展についてー「医学史と社会の対話」より

bit.ly 橋本明先生の「精神医療の歴史と私宅監置展」。日本と世界の精神医療とケアと監禁の原型である私宅監置の写真を集めて、橋本先生が解説がしてくださる展示。韓国のソウルや日本各地で開催され、2017年の9月には大阪人権博物館で開催された。2018年の3…

オオタカと「蒼」という色

日本野鳥の会の南富士支部の会報「さえずり」の記事より。 「オオタカ」というタカを時々観ることができる。敏捷で人気があるタカの仲間であるが、名前に反して、これが大きい訳ではない。タカの中では小さい方であり、トビの半分くらいしかない。なぜだろう…

沖の島の禁足の地

日本野鳥の会 : Toriino (トリーノ) 日本野鳥の会の季刊誌である Toriino に、藤原新也が連載をしている。いつも鳥とは無関係だが胸に響く文章を書いている。今回もそのパターンで、九州は玄界灘の沖の島の世界遺産についてのいい文章を書いている。世界遺産…

鶏冠単位?

sizes.com 「鶏冠試験」の続報。もうちょっと難しい実験の作法があって、「去勢オンドリのとさかをどれだけ高くすることができるのか」という概念で、男性ホルモンの効力が図られていた。その実験と測定を含む試験のことかもしれない。これは、1950年までは…

鶏姦試験(笑)

武田長兵衛商店が医学・健康系一般雑誌に出した広告。雑誌は昭和12年の雑誌『優生』で、不二出版から復刻されている。広告されているのは男性ホルモンの「エナルモン」である。勃起力減退や早漏などに効くとのこと。優生学の一般的なイメージにふさわしくな…

感染症の致命率と保菌者

東京市役所. "東京市防疫報告." In 近代都市の衛生環境【東京編】, 1941. 昭和戦前期日本の感染症の論文の仕上げ。見ていた史料に「致命率」case fatality rate CFR という指標を見つけた。伝染病予防法の10種感染症であれば、患者数と死者数が分かるから、…

医学史と社会の対話―歴史(医史)研究と社会との接点 /尾﨑 耕司(大手前大学)

bit.ly 明治維新以降の日本の近代医療の形成は、世界の非西欧圏の近代化の中でも、特徴があるユニークなものです。正統医療であった中国医学を学んでも、それだけでは新規に医者になれなくなったこと。近代的な公衆衛生の模範であったイギリスではなくドイツ…

サーカス250周年の夢

www.youtube.com 2018年はロンドンでサーカスが誕生してから250周年とのこと。色々な行事がロンドンと世界で開かれるのだろう。今、多くの著者たちが本を書いているだろうから、それも読もう。きっと楽しいだろうと思う。 先日大学院生と昼食を食べながら、…

プシコナウティカの会 磯野真穂/兵頭晶子/藤原なおみ

プシコナウティカの会。今回は磯野真穂さんの書物を兵頭晶子さんたちが評論する会とのこと。私は別の学会で出席できませんが、ぜひお出でのほどを。 ********* 第10回 プシコナウティカの会 ********* 日 時 2017年11月11日 (土) 13:00~17:00 場 所 目黒区…

明治の精神病女で岡倉天心の愛人であった星崎波津子の「巣鴨病院再入院申請書」は贋造書類なのか?

松本清張. 岡倉天心 : その内なる敵. 河出文庫. 河出書房新社, 2012. 南富鎮. 松本清張の葉脈. 春風社, 2017. 星崎波津子という人物がいる。もともとは花柳界の出身で、結婚は文部官僚で貴族院議員となった九鬼隆一に嫁ぎ、哲学者の九鬼周造の母である。九鬼…

Buddhism and Medicine 新刊のアンソロジー

amzn.to Buddhism and Medicine: An Anthology of Premodern Sources が刊行された。仏教と医学に関する重要なテキストの英語訳と指導的な学者による説明と聞いている。評者も素晴らしいコレクションだと絶賛している。Kindle で16,000円以上とさすがに高価…

新しい「精神医療時代の芸術」の時代へ:坂本葵さんの評論

bit.ly 9月9日に松沢病院で開催した「精神医療と音楽の歴史」の講演部分を、作家の坂本葵さんに論じていただきました。高林陽展先生(立教大学)と私の、精神医療の歴史に関する講演でしたが、坂本さんの評論からは、学問的に、そして時代の方向を考え直すう…

展覧会「コンニチハ技術トシテノ美術」について

せんだいメディアテーク 「コンニチハ技術トシテノ美術」は、せんだいメディアテークのギャラリーでの展示。11月3日に始まり、12月24日まで開催されます。青野文昭、飯山由貴、井上亜美、高嶺格、門馬美喜の5人のアーチストの作品が展示されます。ウェブサイ…

『ボブという名の猫―幸せのハイタッチ』

bobthecat.jp 土曜日のワークショップでの話しと授業の準備。意外に早く済んだので、午後に、実佳と一緒に映画『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』を観に行く。ロンドンのヘロイン中毒のストリートシンガーと、彼のみじめな生活にやってきて立ち直りを助…