Entries from 2007-04-01 to 1 month
必要があって、ロンドンの乳幼児死亡についての論文を読む。文献は、Fildes, Valerie, “Breat-Feeding in London, 1905-1919”, Journal of Biosocial Science, 24(1992), 53-70. 20世紀初頭のロンドンで、婦人保健監察官が戸別訪問して集めてきたデータを集…
必要があって、東大医学部の精神科闘争のルポルタージュを読む。文献はサンケイ新聞社会部東大取材班『ドキュメント東大精神病棟』(東京:光風社、1978) 昭和43年の1月の登録医制度への反対に端を発する東大医学部の精神科におけるストライキは、10月に精…
終戦直後に日本の各地で被害が出た発疹チフスの優れた論文を読む。文献はAldous, Chris, “Typhus in Occupied Japan (1945-46): An Epidemiological Sudy”, Japanese Studies, 26(2006), 317-333. 著者は占領期沖縄研究を経て現在はGHQの公衆衛生の歴史を研…
必要があって、グローバルな疾病史の古典的な論文を読み直す。文献は、Arnold, David, `The Indian Ocean as a Disease Zone, 1500-1950,' South Asia, 1991, 14: 1-21. グローバルな疾病史を打ち立てた古典的な研究書が二冊ある。マクニールの『疫病と文明…
これまた必要があって、1979年1月に起きた大阪の三菱銀行猟銃強盗殺人事件の書物を読む。これも類書が沢山あるのだろうけれども、適当にアマゾンの書評を眺めて、「幻冬舎アウトロー文庫」から出ている、毎日新聞社会部編集の『破滅 梅川昭美の三十年』を選…
必要があって、連続女性強姦殺人事件の大久保清についてのルポルタージュを読む。きっとたくさん類書があるのだろうけれども、『津山三十人殺し』が名作だった筑波昭が書いたOH!文庫を読んでみた。 事件の概要は良く知られているだろう。1971年のわずか数ヶ…
必要があって、1960年代のアメリカで行われた健康行動調査の報告を読む。文献はPetroni, Frank A., “Social Class, Family Size and the Sick Role”, Journal of Marriage and the Family, 31(1969), 728-735. 病人役割(sick role って、こう訳したんですね…
必要があって、アメリカの非正規医療にまつわる図版集を読む。文献はHelfand, William H., Quack, Quack, Quack: the Sellers of Nostrums in Prints, Posters, Ephemera and Books (New York: The Grolier Club, 2002). これは2002年秋の展覧会のカタログで…
絵画の一部を見て全体をあてるベタなクイズです。 最終ヒント、というか全体図です。 正解が分かった方は、「内緒」で書き込んでくださいませ ・・・ なんと今回は正解者がいませんでした。 静物画ってむしろ難しいのでしょうかね。 日曜の朝に、No.6 をアッ…
同じ論文集から、18世紀のプロシアの宮廷の医学について。文献は Geyer-Kordesh, Johanna, “Court Physicians and State Regulation in Eighteenth-Century Prussia”, in Vivian Nutton, ed. Medicine at the Courts of Europe, 1500-1837 (London: Routledg…
必要があって、初期近代のヨーロッパの宮廷医学についての論文集を読む。文献は、Nutton, Vivian, ed. Medicine at the Courts of Europe, 1500-1837 (London: Routledge, 1990). ナットンのイントロダクションをはじめ、すぐれた論文が揃っているが、やはり…
未読山の中から、ツルゲーネフの短編「生きた御遺骸」を読む。『ツルゲーネフ全集』第八巻 米川正夫訳(東京:日本図書センター、1996)655-683. 以下はネタバレがあります。 いったいなぜこの作品を読もうと思ったのか記憶は確かではないが、読んでみると、…
必要があって、初期アメリカの麻疹の流行についての論文を読む。文献はCaufield, Ernest, “Early Measles Epidemics in America”, Yale Journal of Biology and Medicine, 15(1942), 531-556. 麻疹は疫学にとってのモデル疾患である。その高い感染性と、単純…
同じく新着(?)雑誌から。有名な『病草紙』の分析。文献は、小山聡子「『病草紙』製作と後白河法皇の思想」『日本医史学雑誌』51(2005), 593-614. 『病草紙』という有名な絵巻物がある。後白河法皇の命によって12世紀に製作されたもので、さまざまな病気に…
未読山の奥底で眠っていてこれまで目につかなった雑誌に目を通す。力作が揃っていた号だった。文献は、香西豊子「近代解剖制度史補遺-『明治四十四年九月 屍体ニ関スル記事 東京医科大学解剖学教室』の分析から」『日本医史学雑誌』51(2005)549-568.香西さ…
ディーテイルズ? No.4 の正解は、マネの「フォリー・ベルジェール劇場のバー」でした。 常勝の<スイート・アーチスト>きいちごさんが連勝記録を「4」に伸ばしています。 今回もなんと第一ヒント! これはスルーだよな・・・という自信を持って、記憶に残…
同じくラウトレッジの『20世紀医学史入門辞典』から、「医学と対抗文化」の章を読む。 文献は、Saks, Mike, “Medicine and the Counter Culture”, in Roger Cooter and John Pickstone eds., Companion to Medicine in the Twentieth Century (London: Routl…
オルダス・ハックスリーの『ルーダンの悪魔』を読みなおす。中山容・丸山美知代訳で人文書院から翻訳が出ていたので、アマゾンの古書で買って読んでみた。固有名詞と専門用語が満載の長編歴史小説を訳した仕事には大いに敬意を表するが、当時の医学史のター…
ディーテイルズ? No.3 の正解は、フュースリの「夢魔」でした。 第一正解者は、またもきいちごさん! 第二ヒントのつま先で正解で、無敵の三連勝中です。 二着はひとみどんさん、三着は朧月夜さん、どちらも第三ヒントでの正解でした。 No.1 (ダヴィッド「…
未読山の中から、前に一度読んだごく初期の梅毒論の英訳があった。何かの理由でもう一度読もうと思ったのだろう。昔の医学論文を読むのは楽しいので、喜んで読み直す。文献はGruenpeck, Joseph, “Joseph Gruenpeck and His Neat Treatise (1496) on the Fren…
授業の予習のため、ポストコロニアル医療について、簡にして要を得たという表現がぴったりの論文を読む。文献はPackard, Randall, “Post-Colonial Medicine”, in Roger Cooter and John Pickstone eds., Companion to Medicine in the Twentieth Century (Lo…
ぎっくり腰のほうは、ゆっくりとだけれどもおかげさまで大分よくなって、ジョギングまでできるようになりました。だからというわけではないけれども、授業の準備も兼ねて夏樹静子『私の腰痛放浪記』を読む。これが、たいそう面白かった。 有名なミステリー作…
出張の新幹線の中で瀬戸内寂聴『花芯』を読む。この二、三年、瀬戸内寂聴の『源氏物語』を拾い読みしては、いいなあと思うことが多かった。そんなときに、寂聴訳の源氏物語の朗読のCDを近く出される朗読家のあきこさんのブログで、この作品を教えられて読ん…
オーストラリアの検疫を論じた論文を読む。文献は、Bashford, Alison, “Quarantine and the Imagining of the Australian Nation”, Health, 2(1998), 387-402. この20年くらい、オーストラリアはブリリアントな医学史研究者を続々と輩出しているが、その中で…
必要があって、ヨハン・ペーター・フランクの『医学行政体系』の抜粋を読む。文献はFrank, Johann Peter, A System of Complete Medical Police, edited with introduction by Erna Lesky (Baltimore: The Johns Hopkins University Press, 1974)。オリジナ…
ディーテイルズ? No.3 です。 どの絵画の部分でしょうか? 第四ヒントです。 有名な絵画の部分から、どの作品かを当てる、ベタなクイズです。 同じ絵画の色々な部分から、一日か二日に一枚ずつ出していきますので、分かった方から、「内緒」で正解を書き込…
19世紀から20世紀にかけてのイタリアにおけるマラリア根絶の論文を読む。文献はSnowden, Frank M., “‘Fields of Death’: Malaria in Italy, 1861-1962”, Modern Italy, 4(1999), 25-57. おそらく、同じ著者による一冊の書物をコンパクトにまとめた論文で、非…
必要があって、解説付き解剖学図版集を読む。文献は、Rifkin, Benjamin A., Michael J. Ackerman and Judith Folkenberg, Human Anatomy: Depicting the Body from the Renaissance to Today (London: Thames & Hudson, 2006). 美術書の出版社から出た、ルネ…
授業の準備で、精神病院を舞台にした小説を読む。文献は、帚木蓬生『閉鎖病棟』(東京:新潮文庫、H9) 筆者は精神科医で、医療を素材にした数多くの小説で知られている。私はこの作家の作品を読むのは初めてだったが、ファンが多いのも頷けた。平成のネオ・…
未読山の中から古代中国のヴィタミン欠乏症についての短報を読む。文献はLee, T’ao, “Historical Notes on Some Vitamin Deficiency Diseases in China”, Chinese Medical Journal, 58(1940), 314-323. ヴィタミン欠乏症の歴史は研究が進んでいない分野であ…