Entries from 2006-01-01 to 1 year
来年の授業の準備で、ブラム・ストーカーの『ドラキュラ』、そして同書の優れた解説書・研究書である武藤浩史『「ドラキュラ」からブンガク』(東京:慶應義塾大学出版会、2006)を読む。アカデミックに信頼できる翻訳も出ているようだけど、入手しやすい平…
コレラの論文を大急ぎで書いている。その関係で、フランス公衆衛生学史の古典的な研究書を読む。文献はColeman, William, Death is a Social Disease: Public Health and Political Economy in Early Industrial France (Madison, Wisconsin: The University…
コッホのコレラ菌発見の優れた分析を読む。文献はColeman, William, “Koch’s Comma bacillus: The First Year”, Bull.Hist.Med., 61(1987), 315-342. ロベルト・コッホは1884年にコレラ菌を<発見>した。コンマバチラスと呼ばれることになるこのヴィブリオ…
リヴァプールにおけるコレラ暴動を研究した論文を読む。文献はBurrell, Sean and Geoffrey Gill, “The Liverpool Cholera Epidemic of 1832 and Anatomical Dissection – Medical Mistrust and Civil Unrest”, Journal of the History of Medicine and Allie…
18世紀ヨーロッパの牛疫(リンダーペスト)の対策を論じた論文を読む。文献は、Huygelen, C., “The Immunization of Cattle against Rinderpest in Eighteenth- Century Europe”, Medical History, 41(1997), 182-196. 牛疫については、19世紀末にアフリカの…
戦争の人的被害の疾病史の論文を読む。文献はOutram, Quentin, “The Socio-Economic Relations of Wrfare and the Military Mortality Crises of the Thirty Year’s War”, Medical History, 45(2001), 151-184. 1618年から30年にわたってドイツを中心に戦わ…
小氷河期の疾病危機についてのしばらく前の論文を読む。Appleby, Andrew B., “Epidemics and Famine in the Little Ice Age”, in Robert I. Rotberg and Theodore K. Rabb eds., Climate and History (Princeton: Princeton University Press, 1981), 63-83.…
ロンドンで観たインドの神像展についての記事。 南インドの一地方では、いまだに昔ながらの方法で青銅の神像を作っているそうです。その作り方の写真をアップします。
名言集を変えました。アメリカ合衆国の第三代大統領にして思想家のトマス・ジェファソンが1807年に医者に書き送った手紙の中に出てくる言葉です。 自然治癒力と、それを操作できる医療の人為の力の双方を信じるのは、自分が医者でなくても啓蒙主義のインテリ…
腸チフスこそ19世紀以降の医学の発展に大きく寄与したモデル疾患であったという論旨の論文を読む。文献はStenvenson, Lloyd G., “Exemplary Disease: The Typhoid Pattern”, Journal of the History of Medicine and Allied Sciences, 38(1982), 159-181. 「…
書評のために20世紀前半のイギリスの心理学の社会史の傑作を読む。文献はThomson, Mathew, Psychological Subjects: Identity, Culture and Health in Twentieth-Century Britain (Oxford: Oxford University Press, 2006). トムソンはイギリスの1911年の精…
しばらく前のクイズの答えです。 問題は、1927年の治療法のうち、どのくらいが、1980年の基準で計った時に「治療にはほぼ無価値」のカテゴリーに入るか、というものでした。 図のように、ほぼ60%です。 7-10を「有効」とすると、有効な治療法は6% しかあり…
ロンドンで見てきたロダンのスフィンクス像の写真をスキャンしたのでアップ。 1900年に製作(彫刻の制作年代って、よく分からない)されて、1903年にアーサー・シモンズ夫妻にロダンから贈られた。 カタログによると、シモンズは Fortnightly Review にロダ…
自殺のリサーチに返らなければならなくなった。夏に読んだモーリス・パンゲ『自死の日本史』(東京:筑摩書房、1986)をブログの記事にしていないのに気づく。神代の昔から三島まで、日本の自死の事例を取り上げて論じた大著。深い洞察、明晰な分析、そして…
2週間近いイギリス出張から帰ってまいりました。
出張先でレ・ファニュ『吸血鬼カーミラ』平井呈一訳(東京:創元社推理文庫、1970)を読む。表題作はわりと有名な作品だと思うけど、私は読むのが初めて。というより、レ・ファニュという作家を読むのが初めて。このあいだPINKさんが低人さんのところで書い…
面白くて便利な論文を読んだ。Beeson, Paul B., “Changes in Medical therapy during the Past Half Century”, Medicine, 59(1980), 79-99. 1980年の医学の知識で過去の治療法を評価した論文。1927年の治療法を、1980年の医者の視点で評価するとどうなるかを…
必要があって、出張先の半端な時間で『フランケンシュタイン』を読む。森下弓子訳・新藤純子解説(東京:創元推理文庫、1984)話のあらすじを知らない人はいないだろうけど、自分の頭の中を整理するために。 幸福な少年・青年時代を過ごしたフランケンシュタ…
必要があって、ダーウィンの『ビーグル号航海記』を読む。上中下三巻本で岩波文庫から島地威雄の翻訳が出ている。 ダーウィンが『ビーグル号』で立ち寄ったガラパゴス諸島は、現代科学思想の聖地といっても良い。甲羅を見せるとどの島のカメかを当てることが…
出張中に挟むことになってしまった日曜日を利用して、ロンドンの展覧会を二つはしごする。たまたまこのブログの読者の方と縁があるアイテムに出会ったので、先日に続いて無駄話を少し。 ピカディリーの王立美術院 (Roay Academy of Arts) で二つの展示。一つ…
エーデルシュタインの古典古代の養生論の論文を読む。当該論文が含まれている文献は、Edelstein, Ludwig, Ancient Medicine, edited by Owsei Temkin and C. Lilian Temkin, translated from the German by C. Lilian Temkin (Baltimore: The Johns Hopkins …
今日は無駄話しです。 少しブログのデザインを変えてみました。 一番変わったところは、「一言メッセージ」です。 「医学史名言集」という企画で、時々変更しようかと思っています。 最初は、昔話題にしたオズラーの台詞の中で、一番記憶に残っているものを…
初期近代の医者が、患者に対して「ためになる言葉と、薬を少し」与えていたという論文を読む。文献はCook, Harold, “Good Advice and Little Medicine: The Professional Authority of Early Modern English Physicians”, The Journal of British Studies, 3…
17・18世紀から19世紀までのヨーロッパにおける鍼灸の紹介の歴史を読む。文献はBivins, Roberta, Acupuncture, Expertise and Cross-Cultural Medicine (Basingstoke: Palgrave, 2000). 本書によるとヨーロッパに最初に紹介された鍼灸は中国ではなくて日本の…
必要があって、エイズのドキュメンタリーの古典を読む。文献はランディ・シルツ『そしてエイズは蔓延した上・下』曽田能宗訳(東京:草思社、1991) ランディ・シルツのAnd the band played on はアメリカにおけるエイズ流行の初期を描いた傑作である。アメ…
今書いている論文の関係で、第三世界の医療利用についての多様な論文を読み散らしている。色々なトピックが次々と出てくる。エチオピアの医者の利用率や、WHOのHealth for All by 2000の理念をめぐる論争など。(後者は、WHOの責任ではないのだろうけど、今…
しばらく更新が不定期になると思います。 コメントなどにもお返事できないことがあるかもしれません。
19-20世紀の精神医学の歴史の辞典が出たので目を通す。文献はShorter, Edward, A Historical Dictionary of Psychiatry (Oxford: Oxford University Press, 2005). エドワード・ショーターはカナダの著名な医学史家。日本でも『近代家族の歴史』『女の体の…
ボードレールのハシシ論を読む。文献は Baudelaire, Charles, On Wine and Hashish, forword by Maraget Drabble, trans. By Andrew Brown (London: Hesperus Press, 2002). エスキロール門下の精神科医の一人、モロー・ド・トゥールはハシシを精神病の治療…
注文しておいた新潟のツツガムシ病についての研究文献が到着したので、喜んで読む。文献は蒲原宏「越後恙虫病雑記」1-3, 『日本医事新報』no.1620(1955), 2191-2194, no.1625(1955), 2745-2747, no.1671(1956), 51-53.江戸時代を中心に、新潟あたりの古文書…