Entries from 2010-06-01 to 1 month
必要があって、東京の私立精神病院の歴史を集めた重宝な書物をチェックする。文献は、社団法人東京精神病院協会『東京の私立精神病院史』(東京:牧野出版、1978)戦前設立の精神病院を28院、戦後設立が44院で、出版時までの東京の私立精神病院を網羅してい…
必要があって、特別学級の歴史を研究した書物を読む。文献は、戸崎敬子『新特別学級史研究―特別学級の成立・展開過程とその実態』(東京:多摩出版、2000)昨日の山田とおなじように、東京教育大学系の障害児教育の研究である。杉田裕という歴史研究に情熱を…
必要があって、戦前知的障害者施設の歴史の研究書を読む。文献は、山田明『戦前知的障害者施設の経営と実践の研究』(東京:学術出版会、2009)滝乃川学園や八幡学園など、知的障害者施設に残っている古い記録を使って施設の歴史を書いた書物である。私は精…
必要があって、柳田国男の『都市と農村』を読む。昭和4年に朝日新聞社から出版された版が大学図書館にあった。当時、国家的な問題となっていた農村の疲弊と衰亡、そして日本における都市と農村の関係について、歴史や文化についての知識と深い洞察を展開した…
必要があって、疫学の教科書を読みなおす。文献は、Rothman, Kenneth J., Epidemiology: An Introduction (Oxford: Oxford University Press, 2002).歴史疫学のような仕事もしているけれども、疫学をちゃんと学んだことがないのが不安である。セミナーを受け…
必要はなかったけれども、イギリスの哲学者であるロックの書簡集を読む。文献は、Locke, John, John Locke: selected correspondence, ed. by Mark Goldie (Oxford: Oxford University Press, 2002).ジョン・ロックはたぶん「哲学者」として人名事典に出てく…
必要があって、京都のコレラ対策史の研究を読む。文献は、小林丈広『近代日本の公衆衛生―都市社会史の試み』(東京:雄山閣出版、2001)。よく整理された優れた研究書であった。安政のコレラ(1958-9)のコレラでは洛中で1,800人あまりが死んだと記録されてい…
必要があって、近世の薬、特に輸入薬についての研究書を読む。文献は、山脇悌二郎『近世日本の医薬文化-ミイラ・アヘン・コーヒー』(東京:平凡社、1995)。平凡社の編集が何を思ったか「ミイラ・アヘン・コーヒー」といった妙な副題をつけてしまったせい…
必要があって、幕府が1791年に官学化した「医学館」についての研究を読む。文献は、町泉寿郎「医学館の学問形成」(一)~(三)『日本医史学雑誌』45(1999), 339-370; 515-542; 46(2000), 3-22.高い水準のリサーチに洗練された歴史学の意識を組み合わせた、…
必要があって、熱帯気候順化についての論文を読む。文献は、Kennedy, Dane, “Climatic Theories and Cultre in Colonial Kenya and Rhodesia”, Journal of Imperial and Commonwealth History, 10(1981), 50-66.植民地時代のケニア・ローデシアでは移民した…
必要があって、「新しい歴史」(といっても20年前の話だけど)を紹介した記事を読む。文献は、Burke, Peter, “Overture: the New History, Its Past and Its Future”, in Peter Burke ed., New Pespectives on Historical Writing (University Park, PA: The…
必要があって、戦前の女学校と女学生についての新書を読む。文献は、稲垣恭子『女学校と女学生―教養・たしなみ・モダン文化』(東京:中公新書、2007)少し前に読んだミッションスクールの研究のような知的冒険心はないけれども、深く広い学識に基づいて基本…
必要があって、19世紀フランスの医療職専門化の試みを論じた古典的な論文を読む。文献は、Ramsey, Mattew, “Medical Power and Popular Medicine: Illegal Healers in Nineteenth-Century France”, Journal of Social History, 10(1977), 560-587.近代以降の…
必要があって、明治天皇の伝記を調べる。文献は、Keene, Donald, Emperor of Japan: Meiji and His World 1852-1912 (New York: Columbia University Press, 2002).高名な日本学者のドナルド・キーンによる明治天皇の伝記で、900ページもある大作である。も…
必要があって、19世紀―20世紀の売薬と医療専門職についての論文を読む。文献は、Loeb, Lori, “Doctors and Patent Medicines in Modern Britain: Professionalism and Consumerism”, Albion, 33(2001), 404-425.医療とビジネスの関係はいつでも微妙であり、…
今日はサッカーの関連で無駄話です。日本の放送局も、ワールドカップを放映する番組の前に流す、その年のテーマ映像(ビデオクリップというのかしら?)を作っていると思います。BBCも少し前のワールドカップからこのクリップを作っていて、サッカーの映像の…
19-20世紀のフランスの医学アカデミーについての研究書を読む。文献は、Weisz, George, Medical Mandarins: the French Academy of Medicine in the Nineteenth Century and Early Twentieth Centuries (Oxford: Oxford University Press, 1995)著者は、私…
ジェンナーの牛痘以前にイングランドを中心に人痘接種を大々的に行って国際ビジネスにしたサットン一族についての論文を読む。これまで何度も引用されているのをみたが読むのはこれが初めて。文献は、Zwanenberg, David van, “The Suttons and the Business …
必要があって、医学教育の国際比較史の傑作を読む。文献は、Bonner, Thomas Neville, Becoming a Physician: Medical Education in Britain, France, Germany, and the United States, 1750-1945 (Baltimore: The Johns Hopkins Univeristy, 1995).時代とし…
19世紀のカニング・マンの医学的な側面を描いた論文を読む。文献は、Davies, Owen, “Cunning-Folk in the Medical Market-Place during the Nineteenth Century”, Medical History, 43(1999), 55-73.19世紀は医療を国家が規制して「正規の医療」という概念が…
必要があって、病院の歴史を古代から現代まで概観した通史を読む。文献は、Risse, Guenter, Mending Bodies, Saving Souls: A History of Hospitals (Oxford: Oxford University Press, 1999)18世紀のエディンバラの病院/大学の医療・医学教育・研究を研究し…
必要があって、乳児死亡という指標に与えられた意味の形成を取り扱った論文を読む。文献は、Condran, Gretchen A. and Jennifer Murphy, “Defining and Managing Infant Mortality: a Case of Philadelphia 1870-1920”, Social Science History, 34(2008), 4…
医学史研究会(合評会)のお知らせ久しぶりの医学史研究会の開催です。6月30日の18時30分から、慶應義塾大学・三田キャンパス・大学院棟324教室にて、新刊合評会が行われます。対象書籍は、金森修『<生政治>の哲学』(ミネルヴァ書房、2010)です。金森先生…
必要があって、戦前から戦後をいきた農民が書いた自伝的回顧録のようなものを読む。文献は楠本藤吉『村の暮らし』(東京:御茶の水書房、1977)20歳になると徴兵検査で、これは数年前から待った日である。そこで「男の価値」が決定つけられる日である。幼い…
必要があってフィレンツェの病院についての研究書を読む。文献は、Henderson, John, The Renaissance Hospital: Healing the Body and Healing the Soul (New Haven: Yale University Press, 2006).近世の医学史研究の水準の高さと守備範囲の広さをまざまざ…
具体的にはどんな「必要」だったのか思い出せないけれども、とにかく必要があって、吉屋信子の出世作『花物語』を読む。大正5(1916)年から『少女画報』をはじめ、一連の少女雑誌に断続的に連載された短編集。少女が出てきて花にまつわる美しく悲しくロマン…
新国立劇場でリヒャルト・ストラウス作曲の『影のない女』を観る。「影を持たない女は子供を持つことができない」という主題を中心にしたストーリー。影を持たぬゆえに子供を持つことができない皇后が、ある貧しい人間の女で染物屋の妻から影を譲り受けよう…
必要があって、香山リカの最近の新書を読む。文献は、香山リカ『「私はうつ』と言いたがる人たち』(東京:PHP選書、2008) 著者は著名な評論家で精神科医。褒貶相半ばする書き手だけれども、私は、尊敬している精神科医から「彼女は実は頭が良くて出来る人…
必要があって、学生時代に読んだ本を引っ張り出して、日本の進化論について勉強しなおす。文献は、村上陽一郎『日本人と近代科学』(東京:新曜社、1980)日本の進化論については、欧米の進化論が経験したようなキリスト教徒の闘争がなかったこと、ハードな…
必要があって神経衰弱の「個人化」を論じた論文を読む。文献は、Schuster, David G., “Personalizing Illness and Modernity: S. Weir Mitchell, Literary Women and Neurasthenia”, Bulletin of the History of Medicine, 79(2005), 695-722.神経衰弱という…