Entries from 2007-11-01 to 1 month
未読山の中から、明治初年の大分・日田の捨て子養育院を紹介した資料を読む。文献は高橋梵仙「松方正義と豊後日田に於ける赤子養育仕法」『社会事業』20(1936), No.11, 11-30.松方正義が大分の日田に県知事として活躍していた時期に、松方の肝煎りで同地に赤…
未読山の中から、中世ヨーロッパの飽食のパラダイス「コケイン」についての研究書を読む。Pleij, Herman, Dreaming of Cockaigne: Medieval Fantasies of the Perfect Life, trans. By Diane Webb (New York: Columbia University Press, 2001).「コケイン」…
必要があって、大西洋の両側の疾病環境についての論文を読み直す。文献はDobson, Mary J., “Mortality Gradients and Disease Exchanges: Comparisons from Old England and Conolinal America”, Social History of Medicine, 2(1989), 259-297. 20年近く前…
スリランカのマラリア対策の言説を分析した論文を読む。文献はSilva, Kalinga Tudor, “‘Public Health’ for Whose Benefit? Multiple Discourses on Malaria in Sli Lanka”, Medical Anthropology, 17(1997), 195-214.スリランカではマラリアは深刻な問題で…
未読山の中から、1970年代の国際保健についての論文を読む。文献は、Marshall, Carter L., “Health, Nutrition, and the Roots of World Population Growth”, International Journal of Health Services, 4(1974) 677-690.1970年代は、栄養状態が健康状態に…
今日は純然たる無駄話。ジュネーブでアオゲラ (green woodpecker) を見た。国連はジュネーブにも立派な建物を構えていて、そのアーカイブで仕事をした。パレ・デ・ナシオンというところで、ヨーロッパではヴェルサイユの次に大きなパレだそうだ。アーカイブ…
もう一つ映画を観た。スピルバークのSFロボット映画。他の星からやってきたマジンガーZのスケルトンみたいなメカロボットたちが、地球侵略の悪者と防衛する善玉に分かれて闘う話。 メカがDNAのようなコピー能力を持った生き物になり、車とかトラックと…
飛行機の中で映画『ハリー・ポターと不死鳥の騎士団』を観る。原作はすごく長くて、読み飛ばしながら読んだ記憶がある。映画で観たかったのは、二人の敵役。一人は、魔法省からホグワーツに派遣された先生で、魔法省の方針に盲従する官僚主義者のドローレス…
必要があって「食物の世界史」の教科書を読む。文献は、Pilcher, Jeffrey M., Food in World History (London: Routledge, 2006). ラウトレッジの World History シリーズの一冊。このシリーズの「病気」ものは失望したけれども、本書はクリーンヒット。13章…
未読山の中から、初期の衛生学者で19世紀パリで活躍したパラン=デュシャトレ(Alexandre-Jean-Baptiste Parent-Duchâtelet, 1790-1836)の短い伝記研究を読む。文献は、La Berge, Ann Fowler, “A.J.B. Parent- Duchâtelet: Hygienist of Paris, 1821-1836”, C…
ウィルスの概念の成立史の論文を読む。文献は、Helvoort, Ton van, “History of Virus Research in the Twentieth Century: the Problem of Conceptual Continuity”, History of Science, 32(1994), 185-235. このあたりのことになると、予備知識が不足して…
Just uploading an entry from the library of WHO in Geneva...
未読山の中から、国際衛生会議についての論文を読む。文献は、Bynum, W.F., “Po-licing Hearts of Darkness: Aspects of the International Sanitary Conferences”, History and Philosophy of Life Sciences, 15(1993), 421-434. この主題については、Howar…
頂いた論文を読む。ドイツを中心とする更年期・閉経概念の歴史。文献は 原葉子「<更年期>概念の形成と認識枠組みの変容 - ドイツ18世紀末~20世紀初頭の医学言説から―」『年報社会学論集』20(2007), 119-130. 同「ドイツ18世紀前半における<閉経>の意味…
未読山の中から、古代の中近東における<病院>の歴史を論じた論文を読む。文献はAllan, Nigel, “Hospice to Hospital in the Near East: an Institute of Continuity and Change in Late Antiquity”, Bull.Hist.Med., 64(1990), 446-462. 古典古代からキリ…
未読山の中から、90年代初頭のブラジルとキューバのエイズ流行を分析したものを読む。文献は、Scheper-Hughes, Nancy, “An Essay: AIDS and the Social Body”, Social Science and Medicine, 39(1994), 991-1003. 90年代当時のブラジルのエイズ対策を痛烈に…
必要があって、教科書の中で優生学の歴史を論じた一章を読む。 文献は、James Moore, "The Fortunes of Eugenics", in Deborah Brunton ed., Medicine Transformed: Health, Disease and Society in Europe 1800-1900 (Manchester: Manchester University Pr…
学生のプレゼンで、TVアニメ『攻殻機動隊』を観る。 マンガが原作で、映画もあるそうだ。 近未来のSF。脳以外は全てサイボーグのかっこいい女性主人公と、その仲間の攻殻機動隊の活躍を、スタイリッシュな映像で描く。ハイテク医学によって脳以外の人間…
出張中の無秩序で雑駁な読書の記事もこれでおしまい。俵万智『トリアングル』(中公文庫、2006)を読んだ。 お会いしたことは勿論ないし、特に熱心な読者ではないが、俵万智さんには何となく親近感を持っている。大学何年生かの時に、生協書籍部に『サラダ記…
学会の口頭発表で、衝撃で打ち震えるような独創的な視点を学ぶ。 論文は守山恵子「口述筆記の医学書に見られるオノマトペ - 『蕉窓雑話』を中心に -」平成19年度日本医史学会秋季大会(2007年11月・長崎)この報告を聞き始めたとたんに、私は思わずこぶし…
出張の移動時間に、辻邦生『花のレクイエム』を読む。一ヶ月に一つずつその季節の花が選ばれて、その花をストーリーに織り込んだごく短い辻邦生の短編に、山本容子さんの版画が添えられて、一月の山茶花から十二月のクリスマスローズまで、短編と版画を一年…
必要があって、細井和喜蔵『女工哀史』を読む。恥ずかしい話だが、この本自体を読むのは初めて。この書物が単行本化されたのは大正14年。著者本人は労働者で、点々とした各地の工場で、実際に女工たちの生活を同じ目線で経験することができた。この視線こそ…
必要があって夢野久作『ドグラ・マグラ』を久しぶりに読む。米倉斉加年の妖しい画が表紙を飾っている角川文庫版。今の研究の流れでいずれは本気で読まなければならない重要な作品だけど、腰を据えて本気で読んだことはない。今回も、まだこの本が面白くなる…
必要があって、古典古代の医学史の教科書を読む。文献は、Nutton, Vivian, Ancient Medicine (London: Routledge, 2004). 古典古代の医学史を授業で教えるときには、事項のあらましをさらってから、テムキンとエーデルシュタインを使っている。半世紀以上も…
必要があって、19世紀フランスの「水の征服」を論じた書物を読み返す。文献は Goubert, Jean-Pierre, The Conquest of Water: the Advent of Health in the Industrial Age, introduction by Emmanuel Le Roy Ladurie, translated by Andrew Wilson (Cambrid…
必要があって、ホームページをつくる学術研究者のための心得集を読む。文献は、岡本真『これからホームページをつくる研究者のために』(東京:菊地書舘、2006) 研究者がホームページから発信するのは、いったい何のためなのかという大きな議論から始まって…
必要があって、ハンブルクのコレラを論じた大著の、食品衛生を論じた箇所を読み直す。文献は、Evans, Richard, Death in Hamburg: Society and Politics in the Cholera Years (Harmondsworth: Penguin, 2005)19世紀のハンブルクの繁栄は、都市の食生活を大…
必要があって、日本医学史の古典の一つに目を通す。文献は、山崎佐『日本疫史及防疫史』第二版(東京:克誠堂、1939) 日本の医学史研究にも富士川游や山崎佐といった偉大な先達がいる。現代の研究者の多くは、彼らの仕事を、インスピレーションやヒストリオ…
必要があって、ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』を読む。私は観ていないけれども、SMAPの草なぎ君(注)が主人公を演じたTVドラマが話題になったそうだ。(注)「草なぎ君」というのは大間違いで、実はユースケサンタマリアが正しいと、siho さ…
20世紀医学にとっての身体と時間を論じた議論を読む。文献は、Armstrong, David, “Temporal Body” in Roger Cooter and John Pickstone eds., Companion to Medicine in the Twentieth Century (London: Routledge, 2000), 247-259.筆者はイギリスの医療の歴…