ジュネーブのアオゲラ

今日は純然たる無駄話。ジュネーブでアオゲラ (green woodpecker) を見た。

国連はジュネーブにも立派な建物を構えていて、そのアーカイブで仕事をした。パレ・デ・ナシオンというところで、ヨーロッパではヴェルサイユの次に大きなパレだそうだ。アーカイブが昼休みを取る間に、芝生のベンチで日向ぼっこをした。パレの前の広い前庭は、レマン湖を見下ろしながら遠くにはアルプスをのぞむ位置にあり、スイス気分を満喫できる。敷地のあちこちに現代彫刻が置かれ、巨木が芝生の中に点在している。その大きな木のこずえで、ヒワの仲間やカラの仲間が群れで賑やかに鳴いていて、見るともなしに見ていたら、背後の木から「ごつん、ごつん」という、ゆっくりした重量感がある音がしてきた。まさか?と思って確かめたら、やはりキツツキだった。

かなり大きくて太っていて、全体重を足の爪で支えるような不自然な体勢で枝にぶら下がって枝をつついて虫を探している。日本のキツツキよりも動きがゆっくりとしていて、木をつつく動作も、日本のキツツキがライト級のボクサーのすばやい連打だとすると、こいつはミドル級の重いパンチを思わせるものがあった。ごつん、ごつんという一撃一撃の重い音を聞きながら10分ほど見とれていた。止まっているときには、木陰だったせいか羽根はくすんだ色に見えたけれども、飛び立った時には、鮮やかな緑色の体が見えた。湖の上に広がる気持ちよく晴れた青い空を背景に、アオゲラ特有の雅な緑色が、何か嬉しかった。