Entries from 2006-09-01 to 1 month
インドにおけるコレラの100年間の盛衰の話を読む。文献は、Klein, Ira, “Imperlialism, Ecology and Disease: Cholera in Indai, 1850-1950”, Indian Economic and Social History Review, 31(1994), 491-518. 貿易のルートに乗ってコレラが日本に侵入したと…
色々な仕事は終わっていないが、コレラのリサーチを設計しなければならない。コレラといえば、どうしてもし尿と飲料水の分離の話をしなければならない。というわけで、し尿処理と衛生状態について手当たり次第に借りた本を読む。文献は、李家正文『糞尿と生…
新しい企画を一つ。簡単な資料などの提供です。同業者にしか意味がありませんが・・・コメントしてくださるのは圧倒的に非同業者なのですが、このブログの読者のサイレント・マジョリティ(笑)は同業者だと思っているので、そのあたりはお許しください。 授…
新着雑誌から、医学の集団的研究についての論文を読む。文献はMarks, Harry M., “’Until the Sun of Science … the True Apollo of Medicine Has Risen’: Collective Investigation in Britain and America, 1880-1910”, Medical History, 50(2006), 147-166…
ある日本語の論集に寄稿することになり、編者の方針で、現代とのつながりを強く意識した歴史の論文を書くことになった。そういう仕事をしてみたいという関心はあったけど、これまでそれを正面に押し出した仕事はしたことがないので、ちょっと不安だけれども…
火急を要する仕事が終わって、「未読山」の中から無造作に取り出した論文を読むという贅沢をした。19世紀フランス医学史で数々の傑作を書いているロバート・ナイの射程が広い鳥瞰的な論文。文献はNye, Robert A., “Medicine and Science as Masculine ‘Field…
出張から帰ってきました。研究会のディスカッションで、ふと話に出したメチニコフのテキストを読み返す。文献は Metchnikoff, Elie and P. Chalmers Mitchell, Nature of Man or Studies in Optimistic Philosophy (New York: G.P. Putnam’s Son, 1910, rept…
久しぶりに趣味で読んだ本の話。というか、もしかしたら初めて? しばらく前の新聞で、イギリスの人気伝記作家の ジェニー・アグロウが書いた伝記を、同じく人気歴史家のステラ・ティリヤードが評するという豪華な顔ぶれの書評を読んだ。アグロウが書いたの…
先日自伝を読んだイギリスの精神科医、ウィリアム・サージャントが1950年代に書いたベストセラー、『心をめぐる闘い』を読む。文献はSagant, William, Battle for the Mind: A Physiology of Conversion and Brain-Washing (London: Heinemann, 1957) これは…
しばらく前に純然たる想定外の仕事が一つ入ったと書いたが、その関係で、19世紀のドイツの精神医学書の英訳に目を通す。 Feuchtersleben, Ernst Freiherr von, The Principles of Medical Psychology, translated by H. Evans Lloyd, revised and edited by …
昨日の仕事の関係で、ある本を太古の記憶から掘り起こして目を通した。文献はForster, Elborg and Robert Forster ed., Sugar and Slavery, Family and Race: The Letters and Diary of Pierre Dessales, Planter in Martiniques, 1808-1856 (Baltimore: The…
想定外の仕事が急に三つほど入って、更新が滞りました。「想定外」というのは、本当に予想もしていなかった仕事も一つあるのですが、大分前から「未決」山の奥深い所でとぐろを巻いていたものが二つです。 その関係で、ブラジル移民の手紙による生活史を読む…
監獄改革の古典を読む。文献はジョン・ハワード『十八世紀ヨーロッパ監獄事情』川北稔・森本真美訳(東京:岩波書店、1994) 初版が1777年に出たハワードの『監獄事情』は、18世紀末以降の精神病院の改革にも大きな与えた書物だということになっていて、20年…
「精神病患者の声」を再構成した著作を批判的に検討した論文を読む。文献は、Beveridge, Allan and Fiona Watson, “The Psychiatrist, the Historian and The Christian Watt Papers”, History of Psychiatry, 17(2006), 205-222. 著者の一人、アラン・ベヴ…
メドゥーナが開発したカーディアゾル・ショックを緻密に研究した論文を読む。文献は McCrae, Niall, “‘A Violent Thunderstorm’: Cardiazol Treatment in British Mental Hospitals”, History of Psychiatry, 17(2006), 67-90. カーディアゾル・ショックはハ…
イスラエルのロボトミーについての論文を読む。文献はZalashik, Rakefet and Nadav Davidowitch, “Last Resort?: Lobotomy Operation in Israel”, History of Psychiatry, 17(2006), 91-106. イスラエルでは1946年から60年の間に数百件のロボトミー手術が行…
・・・というタイトルをつけると、勘違いした人が迷い込んでくるかも。イギリスの戦後精神医学における身体療法の推進者の自伝を読む。文献はSargant, William, The Unquiet Mind, with a preface by D. Ewen Cameron (Toronto: Little, Brown and Company, …
1950年代以降のアメリカの精神医療における向精神薬の歴史を分析した書物を読む。文献はGelman, Sheldon, Medicating Schizophrenia: A History (New Brunshwick: Rutgers University Press, 1999). 今の仕事では向精神薬までは含めないが、インスピレーショ…
ガダマーの医療の哲学の小品集を読む。 文献はGadamer, Hans-Georg, The Enigma of Health: The Art of Healing in a Scientific Age, translated by Jason Gaiger and Nicholas Walker (Oxford: Polity Press, 1996) ドイツ人の学者二人と一緒に仕事をする…
1920年代に流行して忘れられた精神外科学の一つを丹念に研究した傑作を読む。文献はScull, Andrew, Madhouse: A Tragic Tale of Megalomania and Modern Medicine (New Haven: Yale University Press, 2005) 1910年代から、体内に繁殖する細菌の膿巣を外科的…
フロイト派の精神分析理論を通じてロボトミーを正当化した論文を読む。文献は、Rees, T. Percy, “The Indications for Pre-Frontal Leucotomy”, Journal of Mental Science, 89(1943), 161-164. ロボトミーという手術は、1940年代から50年代にかけて世界中で…
順序が前後したが、旅行中に読んだ雑駁な読書の話をもう一つするのを忘れていた。文献は、若合春有(有はにんべんに「有」)『脳病院へまゐります。』(東京:文春文庫、2003)脳病院の研究をしているのに、まだ読んでいなかったの!と驚かれそうだけれども…
アメリカにおけるロボトミーの第一人者、ウォルター・フリーマンが他の精神科医のことをエッセイ風に書き散らした本を読む。文献は、Freeman, Walter, The Psychiatrist: Personalities and Patterns (New York: Grune and Strutt n, 1968). アイスピック片…
パブロフと精神医学の関係を論じた論文を読む。Windholz, George, “Pavlov’s Concept of Schizophrenia as Related to the Theory of Higher Nervous Activity”, History of Psychiatry, 4(1993), 511-526; idem., “Pavlov’s Conceptualization of Paranoia …
精神外科の系譜についての論文を読む。文献は、Berrios, G.E., “The Origins of Psychosurgery: Shaw, Burckhardt and Moniz”, History of Psychiatry, 8(1997), 61-81. ハーマン・ベリオスはケンブリッジ大学の精神医学教授。精神医学の歴史についての世界…
今日は資料の紹介。1930年代からのイギリスの精神病院、特にモーズリー病院(色々な意味で、日本でいう松沢病院に当たる)を中心に、精神医療に携わった医者の短い回想録である。この手の資料は、病院のアーカイヴそのものと較べて資料価値が低く見られるこ…
旅行先の雑駁な読書のブログも今日で最後。 推理小説だけでなく、仕事に少し関係がある文庫本も持っていって読んだ。文献は、松本昭夫『精神病棟の二十年』(東京:新潮文庫、1981, H17) しばらく前から読まなければならないと思っていた、昭和30年代から50…
旅行中に読んだ本の感想がさらに続く。 今回は、いま子猫のバイオエシックスをめぐって話題を提供している坂東眞砂子の『死国』(東京:角川文庫、H8)。 なぜこの本を買ったのかよく憶えていない。横溝作品を何冊か買ったときに、アマゾンの「この本を買っ…