イギリスの鳥類図譜作者


 久しぶりに趣味で読んだ本の話。というか、もしかしたら初めて? 

 しばらく前の新聞で、イギリスの人気伝記作家の ジェニー・アグロウが書いた伝記を、同じく人気歴史家のステラ・ティリヤードが評するという豪華な顔ぶれの書評を読んだ。アグロウが書いたのは、トマス・ビュィックの伝記である。とにかく出張する前に、想定外で発生してしまった仕事は全て片付けたので嬉しくなって(笑)、新しい伝記を予約注文して、ビュイックの A History of British Birdsの選集(もちろん本物の古書ではありませんよ)を、虫眼鏡を片手にしばらく眺めた。

 トマス・ビュイックは18世紀の末に活躍した挿絵画家、木版画家。1758年に生まれて1828年に没している。1797年と1804年に二巻本で出版した鳥類図譜が、最初の本格的なイギリス鳥類図譜となる。約25年後に有名なアメリカの巨大鳥類図譜を出版したオーデュボンの人生は、その図譜のように極彩色で派手なものだったのに対し、ビュイックは一生のほとんどを北イングランドで過ごし、彼の白黒の木版画は、鳥の姿や生息地、そして何よりも羽毛の質感を的確に表現することに力を注いでいた。

 ここで皆さんにクイズ。上の画像の小鳥、ビュイックの作品ですが、この鳥の胸の色は何色に見えますか? 

ビュイック協会のHP はこちら
http://www.bewicksociety.org/
オーデュボンの作品は例えばここで観ることができます。
http://www.nga.gov/collection/gallery/birdsam/birdsam-main1.html
アグロウによるビュイックの近刊の伝記はこちらです 
Jenny Uglow, Nature’s Engraver: A Life of Thomas Bewick (Faber and Faber, 2006 forthcoming)