未読山の中から、20世紀の疾病構造についての大家の論文を読む。文献は、Doll, Richard, “Major Epidemics of the 20th Century: From Coronary Thrombosis to AIDS”, Journal of the Royal Statistical Society, ser.A., 150(1987), 373-395.
20世紀は死亡率が持続的に低下した世紀である。そのなかで、タバコ(シガレット)の喫煙による肺がんと、食生活の変化による心臓血管疾患(というのだろうか)は劇的に増加している。肺がんなどを除けば、年齢調整をするとがんの死亡率自体が特に増えているとは考えられない。目新しいことではないけれども、大家がエレガントな統計処理をしてわかりやすいグラフを使って説明しているのを楽しんで読んだ。
図は、1931-5年と1981-4年の年齢別のがんの死亡率。70歳以上の高齢者を除けば、ほとんど変わっていないどころか、むしろ1930年代方が高い。 がんは、他の病気が治療可能になったことに対して我々が払っている代償であるとはよく言うが、こういうきれいなグラフが一枚欲しかった。