イギリスの港湾衛生と検疫

Maglen, Krista, “’The First Line of Defence’: British Quarantine and the Port Sanitary Authorities in the Nineteenth Century”, Social History of Medicine, 15(2002), 413-428.
同じく Port Sanitary Authority についてのより新しい研究。ハーディの論文が19世紀のコレラの議論の中でPSAを考察しているのに対し、こちらの論文は、PSAが発展させ「イギリス方式」English System と呼ばれるようになった港湾公衆衛生の仕組みを検証したもの。中心にあるのは、「イギリス方式」と「検疫方式」が並行して存在していたことの指摘。「検疫方式」は、世界の商業帝国の中心にあったイギリスで、自由主義にとっての絶対的な敵であった。しかし、イギリス方式は検疫を駆逐したのではなく、1896年まで両者は並行して存在していた。