もう一つのドクター像の版画(昭和10年)

鹿沼市立川上澄生美術館

今朝の流行英語の図像、実佳と話していたら、もともとは昭和10年に刊行された版画集の話をしてくれた。これは川上澄生という英語教師で版画家となった人物の作品。そこではたしかに Doctor が描かれている。まず医は仁術という雰囲気をただよわせ、それから脈をとり、舌をみて、最後が聴診器であるとのこと。ちなみに、1885年の尽くしも、Physician の訳は「脈」でした。

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ついでにもう一つ 1880年代日本で刊行された「流行英語かるた集」の Physician の訳は?

publicdomainreview.org

 

ついでにもう一つ。publicdomainreview からの記事からふと迷い込んだ通販のイラスト。この英語を、日本語に訳して絵に描くという記述で、「流行英語尽くし」という子供向けに作られたもの。Song を「浄瑠璃」と訳すとか、Pig が何を描いているのかよくわからないとか、とても面白い。

しかし、一番面白いのは Physician の訳であり、そのイラストである。これはぜひご覧ください。私には説明ですらできない巨大な謎です(笑)

「(船乗りが長い航海中に貝殻・鯨骨などに慰みに施した)細工、(貝殻・鯨骨などの)細工物」(笑)

www.oed.com

 

昨日のOEDの今日の英単語は scrimshaw.  もちろん初めて経験したような気がして語義の説明などを読んでいるうちに、大昔に少年文学で読んだようなかすかな記憶が出てきた。日本語に訳すと「(船乗りが長い航海中に貝殻・鯨骨などに慰みに施した)細工、(貝殻・鯨骨などの)細工物」という訳なのか説明なのかよくわからない語になる(笑)『宝島』かもしれないけど、この週末には調べている時間がないです(涙)

デジタル情報学:精神医学と心理学の歴史の新しく「際どい」歴史記述法

h-madness からのおしらせ

History of Psychology の最新号は、デジタル情報学の歴史研究での用い方の特集。近年の歴史学者の多くは計量的な分析を通じて新しい分析をすることができますが、同時に際どい分析になることも事実です。この号の論文もすべてを読んでおきます。

http://psycnet.apa.org/PsycARTICLES/journal/hop/21/4

 

h-madness は以下のように紹介しています。

The new special issue of the History of Psychology could be of interest to h-madness readers. The issue is about the use of digital methods to aid research about the history of psychiatry. It includes the following articles:

 

Burman, Jeremy Trevelyan Digital methods can help you . . . If you’re careful, critical, and not historiographically naïve.
Burman, Jeremy Trevelyan Through the looking-glass: PsycINFO as an historical archive of trends in psychology.
Flis, Ivan; van Eck, Nees Jan Framing psychology as a discipline (1950–1999): A large-scale term co-occurrence analysis of scientific literature in psychology.
Baldwin, Melinda A perspective from the history of scientific journals.
Porter, Theodore M. Digital humanism.
Green, Christopher D. Digital history of psychology takes flight.
Flis, Ivan Digital humanities as the historian’s Trojan horse: Response to commentary in the special section on digital history.
Esteban-Guitart, Moisés The biosocial foundation of the early Vygotsky: Educational psychology before the zone of proximal development.

バビロニアで発掘した神殿の彫刻をロンドンの大英博物館に運ぶこと

大英博物館バビロニア展のカタログがいろいろな意味で素晴らしい。面白いことの一つが、ロンドンへの移動を再現した図版である。ニネヴェで発掘した神殿の彫刻をどうやって船で運び、ロンドンの大英博物館に入れたのかを現したものである。私の記憶だと、大英博物館の入り口はわりと狭く、この彫刻が本当に正面玄関を入ったのだろうか?(笑)カタログは I am Ashurbanipal, King of the World, King of Assyria (2018) です。

 

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Prospect の「このような事実」コーナー

Prospect というイングランド中道左派系の月刊誌があって、だいぶ読んでいる。2018年の11月号が到着。まず読むのが In fact というコーナー。イギリスのジャーナリズムが好きな形式で、「このような事実が現実です」という感じが楽しい。同じような感じで最近読んだのが、Bobby Duffy, The Perils of Perception (2018) は、事実と人々の思い込みの違いを比較した本。たくさんのネタができますよ(笑)

 

プロスペクトはこんな感じです。

 

2017年の世界では、自分が生まれなかった国で暮らしているのは 2億5800万人。世界人口の30人に1人がこれにあたる。

ロシアでピザのチェーン店の「ドミノ」がキャンペーンを行い、売り上げを増加するためにお店の入れ墨をしてくれると、その客には毎年100枚のピザを100年間与えるという宣伝をしたところ、希望者が殺到して、最初の381人だけしか提供できなかった。

アメリカ合衆国で人種的な地域の棲み分けが鮮明な都市を10つ選ぶと、それらうち9つが合衆国の北部に存在している。

イギリスのマーガレット妃が1930年に生まれたときに、新聞が彼女の将来はどうかという占いを占星術師に発注した。これがバカ受けして、現代の占星術が生まれたという。