社会復帰しました。ブログも再開します。いろいろブログの中での懸案事項もありますが、順番に負債を返していくということで、頂いた書物の『よみがえる天才アルキメデス 無限との闘い』の話です。
先日新聞の一面に、私が尊敬する先輩の書物の広告があったので、お祝いのメールを送ったら、ご著書を一冊送っていただいた。(かならずしも「せびる」つもりではなかったのですが・・・) 送っていただいたのに、全然歯が立たなかったらどうしよう、と不安だったのだが、「失われた写本」のミステリー風の書き出しが面白かったし、数学史の内容も理解できそうだったので、ほっとしつつ喜んで読む。
図形という具体的な形をもったものに支配されている思考の枠組みの中で、量という抽象的なものを扱おうとして近代数学の概念に近づたアルキメデスの仕事の読み解きである。 私がまったく知らない領域だが、自分が論じている問題を把握しきっている学者だけに可能な流麗さが文面から湧き上がってくる。 特に、形とか量とか数という、歴史的なテキストの著者が使っている根本的なカテゴリーの概念にまで掘り下げて議論が展開しているから、話がとても面白い。 このあたりが、私を含めて最近の医学史に欠けているところだな、と痛感する。 本当にありがとうございました。