18世紀イギリス社会史

必要があって、18世紀イギリス社会を論じた教科書を読みなおす。Hay, Douglas and Nocholas Rogers, Eighteenth-Century English Society (Oxford: Oxford University Press, 1997). 

著者の一人はE.P. トムソンと一緒に出した、18世紀のイギリスの犯罪の歴史(Albion’s Fatal Tree) の論文集に収録された、ロンドンの刑場(タイバーン)についての優れた論文で知っていた。死体解剖の話しをするときには必須の論文なので、授業でも使わせてもらっている。 

この書物はイギリス社会全体のサーヴェイだが、だいたい似たようなニュー・レフトの視点で書かれていて、エリートと民衆の世界観の違い・衝突という側面から見るとよく分かる現象が細かく描きこまれている。好みの問題だろうけれども、タイバーンの論文のような、生き生きとした深い洞察がなかったような気がした。でも、自分が良く知らない領域の話というのは、適切に評価できないものだから、この本も他の学者は高い評価をしているのかな。