西遊記の第四巻。
大きなエピソードは二つで、一つは金角・銀角(「金閣・銀閣」と変換しがちですが、それは誤りです)との戦いで、これは私が子供の時に読んだ何種類かの『西遊記』でも必ず入っているエピソード。名前を呼ばれてそれに答えると吸い込まれてしまう魔法のひょうたんを武器とする二人の魔物の兄弟と悟空が戦う話は、急テンポの活劇で、いま読み返しても楽しかった。もうひとつのエピソードは、子供向けの話では省かれているのだろうか、私は初めて読む物語だった。妖怪が「烏鶏国」の王を殺し、自分が王に化けて王位についている。殺された国王の幽鬼が三蔵の夢枕に立って事情を話し、魔物を殺して王位に服してくれるように頼む。悟空たちが色々な手立てを尽くして戦い、結局は魔物を退治し、王の死体が保存されていたのを幸いに還魂して生き返らせるという話である。この物語の中で、今の王は妖怪が成り済ました偽物であるということを王の子供に説得するために、王の后に、夫婦の夜の生活について尋ねるという趣向がある。たずねられた后は、そう言われてみれば、ある時点から、王の態度が急変して、后と夜の営みをすることがなくなったという。それを聞いて、王の息子は、今の王は偽物であることを確信するというような筋である。なるほど、この趣向は、確かに子供向けの物語に入れることは難しい。『西遊記』は全体に人間の性的な要素が少ない本だけれども(月と太陽や陰と陽などの交合はいくらでも出てくるけれども、これはセックスには数えないことにしての話ですよ。この部分は、確かに児童文学のコードでいうと、検閲されなければなりませんね(笑)