精神病院と都市計画

未読山の中から、精神病院が都市のどこに配されたかを論じた論文を読む。文献は、古山周太郎「都市的施設としての精神病院の成立に関する研究-明治・大正期の精神病院論にみる配置・立地論に着目してー」『都市計画論文集』38,3(2010), 841-846. 

精神医学者が書いたさまざまな教科書の中から、精神病院をどこに立地させるかという問題について考察した論文。教科書はモーズレイ、シューレ、呉秀三が二点、門脇真枝、三宅鐄一、石田昇。呉秀三のように自分で精神病院を建設した医者もいるが、そうでない医者も混じっている。自分で病院を建てなかった医者が書いた精神病院論を読んで立地の問題がわかるのだろうか。たしかに、「教科書をつかって変遷や意見の違いを見る」という研究の手法は存在するし、うまく使えば役に立つけれども、もっと丁寧にサンプルを選んで、問題を絞り込まないと。