2014年11月に雑誌 Social History of Medicine の27巻4号が刊行され、付録の The Gazette No.67とともに送られてきた。社会医学史学会は、イギリスを主たるベースに活躍している医学史の学会で、その名の通り社会史の視点から見た医学史が主流になっている。しかし、社会史そのものが多様な手法や意識を許容する言葉なので、かなり多様な手法の論文が掲載されており、医学史の主流の雑誌である。医学史は国際的な学問であることを目指すべきであると私は考えていて、そのためには日本の大学などで教える研究者は、国際的な研究者にならなければならない。このような国際化と連関した日本における医学史研究の進展は確実に前進している。そのためには、現在の英語圏の医学史研究の高いスカラーシップ、研究の方向、研究の水準などを実感として理解することが必要であり、この雑誌と、アメリカのBulletin くらいは購読したほうがいい。
ガゼットからコンファレンスなどの主題を取り上げる。文学を扱った Fashionable Disease, 獣医学、「黒海」と疾病と医療、身体の歴史の方法論再考、隔離と収容、ヴェサリウス、ギリシアの医学テキスト、戦争の傷痕、遺伝学、現代生活の疾病と医学と文化など。ブログ紹介も面白いものがいくつかあった。