Larson, Heidi J. et al. "Addressing the Vaccine Confidence Gap." The Lancet, vol. 378, no. 9790, 2011, pp. 526-535, doi:10.1016/S0140-6736(11)60678-8.
ワクチンのプラスとマイナスの対立は激しさを増している。ワクチンを接種して特定の疾病への免疫を作りだすことによる個人と社会の利益と、ワクチン接種の副作用や障碍が残ったりする場合の不利益は、激しい論争になっている。また、不利益があるからということで、ワクチンを信頼する度合いが社会で減少していく。そうすると、そのワクチンを打たない人々が多いので疾病がバックラッシュをかけてくる。ワクチン信頼度のゆらぎが複雑な現象であり、どの疾病に関して、世界各国でどのように変わったかという主題は、大きな研究の主題となっている。この論文は、科学的な議論や経済的な議論ではなく、心理的、社会文化的、そして政治的なファクターが重要であるというスタンスをとっている。
Huang, W T et al. "Mass Psychogenic Illness in Nationwide in-School Vaccination for Pandemic Influenza a(H1n1) 2009, Taiwan, November 2009–January 2010." vol. 15, no. 21, 2010, p. 19575, doi:doi:https://doi.org/10.2807/ese.15.21.19575-en.
台湾での心因性のワクチンに対するパニックについて。パンデミックのインフルエンザ(H1N1) に対して、2009年の11月16日に小中学校の生徒にワクチンを打ち始めた。11月23日から12月10日まで、ワクチンを打ったあとに心因性の疾病が現れた学校が10件ほどあり、300人ほどの生徒が疾病、病院に行った生徒は1人である。Massive Psychological Illness after Vaccination は MPIVと略す。
Jacobsen, Peter and Niels Erik Ebbehøj. "Outbreak of Mysterious Illness among Hospital Staff: Poisoning or Iatrogenic Reinforced Mass Psychogenic Illness?" Journal of Emergency Medicine, vol. 50, no. 2, 2016, pp. e47-e52, doi:10.1016/j.jemermed.2015.10.011.
これはデンマークの病院で仕事をしている者たちに MPI が起きたのであろうという話。病院が Mass Psychogenic Illness なのか。病院は、そこで複数の殺人が行われる非常におかしなことになっている。MPIも起きるのか。
Taddio, Anna et al. "Survey of the Prevalence of Immunization Non-Compliance Due to Needle Fears in Children and Adults." Vaccine, vol. 30, no. 32, 2012, pp. 4807-4812, doi:https://doi.org/10.1016/j.vaccine.2012.05.011.
注射針の痛みへの恐怖のために指示に従わない子供と成人がいること。
McNeil, Michael M. et al. "A Cluster of Nonspecific Adverse Events in a Military Reserve Unit Following Pandemic Influenza a (H1n1) 2009 Vaccination—Possible Stimulated Reporting?" Vaccine, vol. 30, no. 14, 2012, pp. 2421-2426, doi:https://doi.org/10.1016/j.vaccine.2012.01.072.
これは面白い。アメリカの予備軍でのエピソード。パンデミック・インフルエンザのワクチンを打ち、そのせいでギラン・バレの症状が出た予備兵が病院に運ばれる。その翌日、同じ部隊の13人の予備兵が同じような症状があるといった。
Kharabsheh, S. et al. "Mass Psychogenic Illness Following Tetanus-Diphtheria Toxoid Vaccination in Jordan." Bulletin of the World Health Organization, vol. 79, no. 8, 2001, pp. 764-770, PubMed, https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11545334
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/PMC2566491/.
これはヨルダンの政治・外交をヒステリーの背景に持っている。1998年にジフテリア接種をうけて200人ほどが集団で不安を起こした。西海岸では1983年にはガス中毒ではないかという不安が、イランでは1992年に26人の女性がジフテリアのあとに不安が起きている。