現代のくすり図鑑

木村, 美紀 and Hama‐House. 王様のくすり図鑑. じほう, 2016.
木村, 美紀 et al. 王子様のくすり図鑑. じほう, 2017.
木村, 美紀 and 三木謙次 . 皇帝の漢方薬図鑑 = the Emperor's Kampo Medicines Illustration Book. じほう, 2017.
 
慶應義塾共立薬科大学と2008年に合併した。もともとは1930年に設立された女子薬剤師養成の学校であり、長いこと女子薬剤師を作っていたのだろうと思う。2008年に合併して、書物をキャンパスを超えて借りられるためだろうが、私が取り寄せて借り出すことができる薬関係の本が数多く揃っている。医学史研究者として、非常に感謝している。慶應には比較的古くから医学部があったが、薬学部はなかったし、現在でも薬剤師をめざす学生たちが読みそうな本はあまりない。
 
先日、温泉で読んだ『皇帝の漢方薬図鑑』というイラスト本にいいことがたくさん書いてあったので、思い切ってシリーズものを合計3冊借りてみた。これがとても面白い。『王様のくすり』は、まず8章が並び、薬の基礎知識、キャラクターファイルという構成。『王子様』は最初に7章、それから基礎知識、キャラクターファイル、そして病原体のモンスターファイルとなる。『皇帝の漢方薬』は、漢方の基本が最初に来て、それから6章の構成、次に漢方薬の基礎知識、生薬の基礎知識(生薬の写真入り)、そして漢方薬キャラクターファイルになる。キャラクターファイルとか、基本的には生きているキャラクターで面白い。モンスターファイルも怪物として生きている。その他に重要なことがたくさんある。漢方薬といい王様のくすりといい、知っておくといいことがたくさんある。実際に役に立つことも事実である(笑)
 
一番重要なのは、本体であるくすりの説明の違いである。疾病をどのように分類して章を分けるのかというテーマである。同じ人物が編集しているようには見えないくらいである。たとえば、子供の病気をあつかった本の「最後の章」である。一瞬ぎくりとするが、これは王子様が連れていかれるゲーム空間の最後の章という感覚である。熱中症、貧血、そして本当の最後の節が「ぎょう虫症」であり、大蛇のようなぎょう虫が神殿の奥で待ち構えていたという設定である。
 
王様のくすり図鑑 王子のくすり図鑑 皇帝の漢方薬図鑑
脳や神経のくすり かぜの章 頭の国
心臓や血管のくすり 感染症の章 腹の国
肺や気管支のくすり アレルギーの章 総身の国
胃のくすり のど・耳・目の章 肌の国
腸や膀胱などのくすり 胃と腸の章 婦人の国
骨のくすり 皮膚の章 心の国
生活習慣病のくすり 最後の章  
免疫・アレルギーのくすり