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ピエール・ダルモン『癌の歴史』

ピエール・ダルモン『癌の歴史』河原誠三郎・鈴木秀治・田川光照訳(東京:新評論、1997)

 

ガンの歴史について、来年度の講義のために一通りの知識をつけなければならないので、何冊かの一般書を読んでいる。ピエール・ダルモンは、フランスの医学史研究者で物書きであり、日本語にもロンブローゾについての本、男性不能症に関する本などが翻訳されている。ロンブローゾと優生学に関する書物は、健全な歴史的な判断と豊かなエピソードが盛られていて、とても楽しい本だった。この本も、とても良い内容である。ガンの歴史を、古代から19世紀末、19世紀末から20世紀初頭、20世紀中葉から現在までの3つの時期にわけ、それぞれの時期に関して、メジャーな医学学説、治療法、疫学や文化・社会的な様相などのジャンルで章立てをして、そこに豊かなエピソードを盛り込んでいる。何か明確な議論を構成するのにはふさわしくない章立てだが、エピソードが十分に集められているので、読んで楽しい。ただ、もともと一般向けの本なので、授業で何の話をできるのかは、まだ見えてこない。