ハンセン病回復者の療養所がある香川県の大島。瀬戸内国際トリエンナーレに出展しています。大手前大学のハンセン病文学の研究者、キャサリン田中さんによる展覧会評が Medical History vol.60, issue 4 (2016) に掲載されました。
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新国立劇場でワーグナー『ワルキューレ』を観る。曲も馴染みやすいし、リリカルな歌も数多く、ストーリーも緊密感があって、『指輪』4部作の中ではもちろん随一の人気作品であるし、オペラ全体の中でも、ワグネリアンでないオペラ愛好家に人気が高い作品である。 新国立劇場での『指輪』としては、10年以上前のいわゆる「トーキョー・リング」に続いて二作目である。「トーキョー・リング」を見たときには、それほどよくないとは思わず、ポストモダンのポップな感覚の『指輪』も面白いくらいに思っていたが、今回のゲッツ・フリードリヒの作品を見ると、こちらのほうがはるかに好みになっている。拍手や歓声の大きさからも、現代の日本の観衆に非常に高く評価されていると思う。また、ワーグナーの作品というと、オタクでハイスペックな男性ファンの観衆が多いのだけれども、今回は普通に女性のファンが多かった。色々な意味で、きっと、いいことだろうと思う。
白金台の東京都庭園美術館で、クリスチャン・ボルタンスキーの展覧会。展示は昨日始まって、12月末まで。今学期の大学院のセミナーの後に学生と一緒に行けるといいと思っている。
ボルタンスキーという現代芸術の作家の名前を最初に聞いたのは、愛知美術館の学芸員の中村さんから。その時に知ったのだが、ボルタンスキーはナチスのホロコーストや強制収容所などを素材と背景にした作品で知られているが、フランスの精神病院でフィリップ・ピネルの人道的な改革と近代精神医学の聖地として知られるサルペトリエールの教会を利用した写真の展示でも知られている。今回の展覧会のために日本にいらっしゃるということであるが、日本の精神病院、あるいはハンセン病の療養所でのお仕事に興味があるということであれば、私のような医学史の研究者にご一報くだされば。よろしくお伝えください。
闘病記研究会フォーラム
「闘病記が出版される意義・読まれる意義」
闘病記は患者さんやそのご家族が読む本と思われがちですが、看護師さんによる闘病記読書会や看護学生の授業でも活用されて始めています。また、市民による闘病記の自費出版を希望する方も増加し、書き手、読み手の双方から「当事者の声」が求められています。
今、社会から求められる日本の闘病記文化が、いつどのように醸成され、そして現代どのように利用されているかを考察し、私たちの「病いと生活」にとっての闘病記の意義を考えます。
日時:2016年10月29日(土)13:00~16:30
〒550-0014 大阪市西区北堀江4-3-2
交通:地下鉄千日前線・長堀鶴見緑地線西長堀駅下車 7号出口すぐ
http://www.oml.city.osaka.lg.jp/?page_id=292
参加費:無料
参加申込:不要(直接会場へお越しください。当日先着順:定員300名)
主催: 日本学術振興会課題設定による先導的人文学・社会科学研究推進事業
『医学史の現代的意義―感染症対策の歴史化と医学史研究の社会との対話の構築』研究班
(研究代表者:慶應義塾大学経済学部教授 鈴木晃仁)
事務局:闘病記研究会実行委員会(健康情報棚プロジェクト事務局内)
メールアドレス:tana-project@hotmail.co.jp
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石塚さんが編集された短編集『病短編小説集』で、不眠に関するフィッツジェラルド(『華麗なるギャツビー』)の傑作を読んだあと、たまたま、エコノミストでフィッツジェラルドの「新作」の記事を読んだので。
きちんと調べなければならないのだけれども、スコットとゼルダのフィッツジェラルド夫妻は、モダニズムと精神病の一つの範例である。結婚して最初は文学的にも二人の関係の上でも好調だったけれども、すぐにスコットはアルコール依存症や不眠などさまざまな精神の不調と疾患に悩まされ、ゼルダは本物の精神疾患になり、フランスやスイスで世界一流の精神病医にかかり、サナトリウムに収容されたりする。しかし、ここから、この夫妻の文学などに関してもう一つの盛り上がりがある。精神疾患で病院に収容されている間に、ゼルダは自伝的な作品を書き、スコットもみずからの精神の不調を書き綴るようになる。このあたり、きちんと調べよう。
そのようなスコットの「新作」が出た。ここで編集されているスコットの短編は、どれも未発表のものであるという。ちょうど、彼自身のアルコール依存症と、妻のゼルダの精神疾患が問題となっていた時期に書かれたものが多いとのこと。ぜひ、読んでおこう。この話が特に必要とされている学会での講演には間に合わないのだけれども、それでも読んでおこう。
We are going to have young scholars' workshop on the history of medicine, disease, and the body on 21 Sept 2016 at Dokuritsu-kan (Building no.4), D-206 at Hiyoshi Campus of Keio Univeristy.
As a development of the graduate seminar of Keio Graduate School of Sociology, six young scholars will present their research papers. Papers, questions and discussions will be in English. Please feel free to attend.
Programme