日本学術振興会から資金を頂いておりますウェブサイト「医学史と社会の対話」。新しいフォーマットになり、ずっと見やすく使いやすくなったと思います。皆さまにご覧になってほしい部分は多いのですが、まずは<医学史関連リンク>をご覧ください。国内と国外の医学史に関連あるウェブサイトに関して、日本語の翻訳と解説をつけて一覧にいたしました。新しい水準の日本と欧米の医学史に触れてください。
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医学書院/週刊医学界新聞(第3262号 2018年02月26日)
『週刊医学界新聞』が「病の語り」についての特集です。江口重幸、東めぐみ、安酸史子の三先生の鼎談であり、アーサー・クラインマンを論じるという企画です。
昨日のエコノミストのプーチンに関する記事と連関する記事について。これは少し前の Prospect の In fact で取り上げられたことである。
1960年のアメリカの共和党と民主党と、2010年の両党の対立の意味合いについての面白いデータ。それぞれの政党の支持者に、自分の息子や娘が、別の政党の支持者と結婚したら不愉快に感じるかどうかということを質問した。1960年には共和党支持者の5%、民主党支持者の4%が不愉快に感じると言っている。2010年には共和党支持者の49%、民主党の33%が不愉快に感じると言っている。共和党の方が不愉快に感じる人が多いということも重要なことだが、約50年で、政党支持がどれだけ深い断絶の中で生きるようになったのかということを知らせている。
深い断絶の感情をあらわにすることが良いという人もいるだろう。中道を好む人もいることも同じような真理だと私は思っている。
Prospectによると、Vox 12th July 2017 が参照されている。
O'Sullivan, Emer. The Fall of the House of Wilde : Oscar Wilde and His Family. Bloomsbury, 2016.
Colm Toibin, "The Road to Reading Gaol", LRB, 30 Nov 2017.
麻酔法の著名な開始については、1846年のアメリカで始まり、すぐにヨーロッパに広められたことが古典的な地位である。日本では、それよりも40年以上前に全身麻酔を導入した華岡青洲の利用が著名である。先日古代エジプトの医学の記述を読んでいたら、頭蓋骨を切る開頭術があって比較的頻繁に行われ、手術のあと成功した例などを根拠にして古代に麻酔法があるというような記述があった。まだ何が基準になっているのか、私にはよくわかっていない。
面白いのが、男性の医師と女性の患者の関係で、男性が麻酔を用いて女性患者の意識を奪い、その間に性暴力に及ぶケースの事例である。日本だと、大正期にいくつか有名なケースがあったが、いまちょっと調べだせない。アイルランドの著名な作家で男性同性愛者であったオスカー・ワイルドの父親である Sir William Wilde (1815-1876) が、女性の患者に麻酔を用いて無意識にさせ、その間に彼女に性的な暴行をしたという訴えをされている。訴えがあったのは1864年で、女性の名前は Mary Travers である。ダブリンの法医学の教授の娘であり、ワイルドが耳鼻科の専門家であったため、ワイルドに1861年に指南してもらう。それから二人の間は異様に親密になっていき、色々とあって、トラヴァースは1864年に訴訟を起こし、その中では1862年にワイルドの診断中に麻酔を用いて意識をなくし、その間に性的に暴行されたというものであった。この訴えは、当時の発想に基づくと、難しい立論をしなければならない。1862年に性的暴行があり、それから二人は恋人になり、しかし1864年に、あれは暴行であったと初めて主張されるという主張である。性的暴行―恋人―訴訟というやや無理な発想に基づいており、当時の法定は、暴行ではなくて合意に基づいていたと判断している。
ただし、性の関係においてあれは暴行だとか、だから有罪であることを証明するためには、smoking gun (決定的な証拠)が必要である。そんなものは性に関しては普通は入手できない。