漢代雙鳥之鈴(笑)
アフリカの彫刻と中国の古美術を少しだけ集めています。今年買うことができたのは、漢代の二羽の鳥の飾り。体内に鈴を持って音が響く細工です。具体的にはどのような機能を果たすものなのか古美術屋さんにもわからないとのことですが、漢代であることは間違いないとのこと。もしご見当がうきましたら教えてくださいませ。「漢代雙鳥之鈴」は実佳がつけた名前です。
集団心因性疾患 (Mass Psychogenic Illness, MPI) の論文メモ
胎児の辰砂入り保存標本と人工的なガラスの眼球
ロシア・インフルエンザ(1889-90)の拡大の進路
ロシア・インフルエンザは1889年に始まって1890年に流行が一応終わっている。20世紀には著名な3つのパンデミックがあり、スペイン・インフルエンザ (1918)、アジア・インフルエンザ (1957)、そして香港インフルエンザ (1968) であるが、その前のパンデミックであると言われており、いくつかの研究論文がある。Smith の議論も面白い。今回授業の準備で読んだのはヴァレロンの論文で、セント・ペテルスブルクからイギリスまでの流行地移動の地図も面白い。このように1889年冬から1890年春までに移動した。致死率 case fatality で言うと、1957年と1968年と同じくらいの0.1% から 0.3パーセントであり、1918年の約十分の一くらいである。ただ、これがスペイン・インフルエンザのようなまさに全世界へのインフルエンザではなく、基本はロシアからヨーロッパにという原理である。日本にも少し来たが、東京と神奈川(横浜)に限定されている。
Smith, F. B. "The Russian Influenza in the United Kingdom, 1889–1894." Social History of Medicine, vol. 8, no. 1, 1995, pp. 55-73, doi:10.1093/shm/8.1.55.
Valleron, Alain-Jacques et al. "Transmissibility and Geographic Spread of the 1889 Influenza Pandemic." Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, vol. 107, no. 19, 2010, pp. 8778-8781, PubMed, doi:10.1073/pnas.1000886107.
20世紀のヨーロッパと日本の戦争における残虐性について
図版はいずれも次の論文から。 Holloway, K. L. et al. "Lessons from History of Socioeconomic Improvements: A New Approach to Treating Multi-Drug-Resistant Tuberculosis." Journal of Biosocial Science, vol. 46, no. 5, 2014, pp. 600-620, Cambridge Core, doi:10.1017/S0021932013000527.
ロシアの優生学の歴史の新刊・PDFだと無料です!
With and Without Galton: Vasilii Florinskii and the Fate of Eugenics in Russia - Open Book Publi
優生学と言えばナチスドイツだけを取り出すパターンはだいぶ前に消えた。19世紀から現在まで、各国によって同じ優生学なり民族衛生の同じ言葉で大きく異なった形を取った理由を調べて、その上で近現代の本質を読もうとしている。Bashford, Alison and Philippa Levine. The Oxford Handbook of the History of Eugenics. Oxford University Press, 2010.は各国の優生学の歴史を丁寧に調べている。日本に関する記述は優れていると思う。
その中でロシアの優生学の展開についての新刊。著者はトロント大学のニコライ・クレメンソフ先生。クレメンソフ先生は、オクスフォード・ハンドブックでもロシアとソ連の項目を書いていて、彼が書いたロシアの優生学についての書物は読んでおかなければならない。PDFだと無料で手に入る。ぜひDLしてお読みください!