Japan Times の記事: 1918-20年のインフルエンザが教えてくれること
医国立保健医療科学院の研究員で、優れた医学史研究者である逢見憲一先生が、Japan Times のインフルエンザの記事に貢献いたしました。逢見先生が昨年英語で書かれた論文を参考にした、記者の Eric Johnstone さんによる面白い記事です。ご覧くださいませ!
Social History of Medicine より精神医療史の論文
H-Madness が Social History of Medicine の最新号から精神医療の歴史に関する研究を紹介する特集。紹介論文は3点である。最初のものはイギリスの20世紀初頭において、産業疲労 industrial fatigue がどう理解されたかを分析する論文。工場労働者の身体全体を生産的な身体ととらえ、それぞれの個人の水準では、ミクロシステムの小さな世界の中で生産が導き出されるものととらえる視点であるとのこと。
第二のものは、症例誌のアーカイブズの問題で、カナダの事例である。症例誌はさまざまなタイプの患者の活動や言葉を含み、妄想的、非合理的、詩的であるようなものが多い。このような歴史的な物語、記録、手紙などがコレクトされて、個人の人生と個性がまとめられた文書になる。その部分を分析しようという論文である。アレット・ファルジュのようなフランスの理論も含む実証の歴史家も含まれている。ちなみに、日本もだいたいその通りである。
第三の論文は、まだわかりやすい要約に接していないが、1950年代のクロルプロマジンの登場に関する薬の使用に関する症例へのインパクトについて。革命的な薬の登場と利用という言葉に接すると、それだけを使いまくるという、一色に染め上げられるような利用を想像するが、むしろ多様な薬が用いられるような構造になっているという面白い議論。1950年と1960年を較べるという議論だと思う。
旧小倉陸軍病院で約1万人分の病床日誌の発見
共同通信社・福岡支社の王エイ星(エイは日へんに華)さんが、慶應の学振PDである中村江里さんの協力を受けて、小倉陸軍病院の傷病兵の病床日誌についての記事を書かれました。4月5日付の東奥日報、神奈川新聞、中日新聞、山口新聞、4月16日付の愛媛新聞などで記事となりました。
王さんにいただいた記事を拝読しました。かっけ、感染症、精神疾患などの多くの疾患があり、それに対応する治療法も精密に記入されている非常に優れた史料であることがわかります。何よりも重要なことは、戦場で傷病を受けた兵士たちが持った、複雑で深い感情と、それが変化していくありさまも書き込まれていることと思います。中村さんをはじめとする医学史や歴史学の研究者たちが、これを分析して、傷病を負った兵士たちの目から見たアジア太平洋戦争を教えてくださると思います。
麻薬の非合法化の投票について
エコノミスト・エスプレッソより。アメリカのコロラド州デンヴァーで非合法麻薬を非合法と認めることを廃止するべきかどうかに関する投票があるとのこと。
これは化学物質としては Psilocybin (サイロサイビン)と呼ばれているが、もともとは、中央アメリカ、南アメリカで長期にわたって用いらたキノコに含まれる化学物質を用いた儀礼があったとのこと。16世紀のスペインによる支配がこのキノコを用いた薬物利用を禁じようとしたが、継続して用いられ続け、20世紀の中葉にサイケデリックの中で再びよみがえったとのこと。現在ではコカインのような最も強力な麻薬と考えられ、今回の投票でもし勝利したとしても、合法化はされず、非合法なものとしての取り扱いがされなくなるだろうとのこと。
地球史上の六番目の生態系の破壊
バラとマーガレットとひらりねこ(笑)
連休の終わり。少し庭仕事をしました。バラが咲き始めました。ピンクのオリヴィア・ローズ・オースティンと白のデズデモナです。ついでにひらりねこも(笑)