西欧の薬草のサザンウッド

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今では普通に売っている「サザンウッド」southernwood と呼ばれている薬草がある。家の庭や鉢に植えてきっと20年くらい経っている。元気だと言われているが、今年は買い足しておいた。学名は Artemisia abrotanum というから、ヨモギ属である。色々な使われ方がしていて、薬と生活用品が混然一体と存在している。面白いのが、strewing herb の用法である。薬草撒きとでも訳すのだろうか。一回イギリスで観た記憶があるが、これまで忘れていた。薬草を乾いた状態で床に撒いて、それで昆虫を殺したり、昆虫の接近を防いだりする仕組みである。清潔になるし、色々な効果がある。これを行って記憶力を保った例としてエリザベス女王が有名である。エリザベス女王のような富裕者だけでなく、貧民も行っていたとのこと。一群の薬草についてどのように床に撒かれたかが記してある。生活の中に植物の香りがあり、それが生活の仕組みを構成している。
 
サザンウッドは、ショウノウ camphor の香りに似ている。刺激性が強く、催淫剤でもあった。「青年の恋」lad's love という別名もついている。そのため、寝室の床に撒かれることも多かったとのこと。別のマテリアルが無料でダウンロードできたので喜んで読むと、キリスト教徒が安息日の祈りの時間に、眠り込んでしまわないように、さまざまな薬草を持ち、味や香りによって起きていて、その中にサザンウッドもあったこと。そこで、神秘的な力、夢を与える力、悪霊を追い払う力、美徳を与える力、健康を与えてくれる力などが、サザンウッドの周りに存在しており、それが安息日と結びついてサザンウッドのイメージを作っていたという。
 
Earle, Alice Morse. The Sabbath in Puritan New England. Charles Scribner's Sons, 1891.