Entries from 2013-07-01 to 1 month

石川信義『心病む人たち』(東京:岩波新書、1990)

石川信義『心病む人たち』(東京:岩波新書、1990) 石川信義は精神科医で、東大の経済学部を卒業して就職したあと医学部に入り直して精神科医になったという少し変わった経歴を持つ。1968年に日本初の完全開放の精神病院である三枚橋病院を群馬県太田市に創…

ジゲリストと「舞踏病」の民俗学的な解釈

ヘンリー・ジゲリストの Civilization and Disease は医学史の古典中の古典であり、岩波新書から『文明と病気』として翻訳されている。その中に「病気と音楽」(下巻 pp.123-146)という有名な章があり、そこでジゲリストは中世の時代に南イタリアのアプリア…

実験室の方法とペストの歴史

Little, Lester K., “Plague Historians in Lab Coats”, Past and Present (2011) 213 (1): 267-290. ペストの病原体が発見されたのは1894年の香港で、アレクサンドル・イェルサンと北里柴三郎の二人の偉大な細菌学者が競いあって、一時は北里がリードしたが…

高橋お伝とハンセン病

高橋お伝とハンセン病 邦枝完二『お伝地獄』上・下(東京:講談社, 1996) 大衆作家の邦枝完二は、1934年から35年にかけて『読売新聞』夕刊に『お伝地獄』を連載した。その作品についてメモ。 高橋お伝は1850年に生まれ、1879年に斬首刑とされた。その犯罪と…

『東海道四谷怪談』

鶴屋南北『東海道四谷怪談』河竹繁俊校訂、岩波文庫 (東京:岩波書店, 1956) 『東海道四谷怪談』は1825(文政8)年に、当時71歳の円熟期であった鶴屋南北が書き下ろした作品である。民谷家に婿に入った伊右衛門が妻のお岩を裏切り、顔面が崩れて醜くなった…

Triumph of the Will (a 1935 film)

Triumph of the Will is a 1935 documentary film made by Leni Riefenstahl featuring the Nazi Party Congress in Nuremberg in 1934. I have never seen this famous film from its opening to the end, and I should have done so as soon as I started …