Entries from 2013-09-01 to 1 month

『死霊解脱物語聞書』

『死霊解脱物語聞書』小二田誠二解題・解説(東京:白澤社、2012) 寛文12(1672)年に起きた憑霊事件を取材して1690年に出版された江戸時代のルポルタージュ。のちに曲亭馬琴、鶴屋南北、三遊亭円朝などによって、小説・歌舞伎・落語などに翻案された。 160…

遠藤周作「松葉杖の男」

遠藤周作「松葉杖の男」 遠藤周作に「松葉杖の男」という短編があり、精神分析医の診療の様子が淡々と描かれている。20年以上前に読んだ作品である。先日の学会で、戦後のアメリカで行われていた心理テストの話を聞いて、この作品のことを思い出していた。ち…

第一次大戦とドイツの戦争神経症

Doris Kaufmann, Science as Cultural Practice: Psychiatry in the First World War and Weimar Germany, Journal of Contemporary History, Vol. 34, No. 1 (Jan., 1999), pp. 125-144. 第一次大戦においてドイツの軍と予備軍は合計すると約60万人の戦争神…

映画『戦争神経症』(1917)の分析

Edgar Jones, “War Neurosis and Arthur Hurst: a Pioneering Medical Film about the Treatment of Psychiatric Battle Casualties”, Journal of the History of Medicine and Allied Sciences, 67, no.3, 2011: 345-373. 1917年に作成された医療映画「戦争…

精神病院と「時」の問題

溝渕園子「消された〈時〉--チェーホフ『六号室』の二つの日本語訳をめぐって」敍説 3 (7), 5-12, 2011. チェーホフ「六号室」は1892年に発表された中編である。チェーホフが1890年に流刑地の実態調査のためにサハリンに1年ほど滞在したあとに書かれ、田舎町…

「精神医学の哲学」コンファレンス

Tokyo Conference on Philosophy of Psychiatry 2013 September 20-23, 2013 東京大学駒場Iキャンパス 9月20日〜23日にかけて、東京大学駒場Ⅰキャンパスで精神医学の哲学に関する国際会議が開催されます。 現在参加登録を募集しています。詳しいプログラム等…

戦間・戦後の精神病をめぐる創作2点

森三千代『森三千代鈔』(東京:濤書房、1977) 森三千代は詩人の金子光晴の妻で、自身も詩や小説などを発表してきた。「天狗」という短編は1946年10月に「文明」に発表された作品で、1944年に東京で没した作家の辻潤の晩年に取材している。辻潤は「岡老人」…

検疫の歴史コンファレンス

2014年8月にオーストラリアで検疫の歴史のコンファレンスが開催されます。アブストラクトの締切は9月16日。 Just a reminder of our call for papers, deadline 16 September 2013. Please circulate to any interested parties! Quarantine: History, Herit…